「HIV感染で休職強要された」看護師が2病院を提訴
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asahi.com(朝日新聞社):「HIV感染で休職強要された」看護師が2病院を提訴 - アピタル(医療・健康) 2012年1月13日14時11分
エイズウイルス(HIV)の検査をした大学病院が本人に無断で勤務先の病院に感染の事実を伝えたため退職に追い込まれたとして、福岡県内の20代の看護師が、両病院を経営する2法人に対し慰謝料など計約1100万円の損害賠償を求める訴訟を11日付で福岡地裁の支部に起こした。
厚生労働省は職場におけるガイドラインで、HIV感染は就業禁止や解雇の理由にはならないと定める。原告側代理人によると、医療従事者がHIV感染による退職をめぐって訴えるのは初めて。
訴状によると、福岡県内の総合病院に勤務していた看護師は昨年、目に異状を感じて複数の病院を受診した後、勤務先の病院にかかった。その後紹介された大学病院でHIV感染の検査をし、陽性と判明した。
HIV治療の副作用で体調を崩して一時欠勤したが、相談した大学病院の医師は「看護師を続けることは可能。注射なども自分を刺して患者を刺すということはあり得ず、あったとしても感染させるリスクは小さい。上司に報告する必要もない」と話した。
しかし、勤務先の上司が感染を知っていた。上司は「患者に感染させるリスクがなくなるまで休職してください。規定で90日以上休職すると退職扱いになりますが、やむを得ませんね」と言ったという。そのため、休職せざるをえなくなり、退職した。その後、目の異常で受診した病院にも、感染の事実が伝わっていることを知った。
看護師側は「医師の守秘義務違反で、必要ない休職を余儀なくされ、退職もやむを得ない状況に追い込まれた」と主張。「日常行為における接触でHIVに感染することはまずなく、看護の現場ではなおさら可能性は低い」として、感染のリスクを理由とした休職の強要は働く権利を侵害している、と訴えている。
勤務先の病院と受診した大学病院側は取材に対し、いずれも「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。
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