カテゴリー「漢方医学」の32件の投稿

2012年2月24日 (金)

老人性難聴

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最近難聴に関するお問い合わせがメールで続き、返事を出しています。

その内容をこのブログにも掲載しておくのもよいかと思い転載します。

メール拝見しました。

お父上様をご心配の様子お察しいたします。

難聴になっているときは聴覚系のどこかの器官、組織に異変が起って聴覚機能が低下しているいるわけです。

老人性難聴と診断されたということは、組織、器官に構造的に大きな変化が認められなくて、聴神経に加齢に伴う萎縮が起こっていると判断されたのだと思います。

身体のどの部分に関しても老化は起こりますが、当然のことながら老化したものを少年時代の状態に戻すことは不可能です。

完全に機能を失った細胞(死んだ細胞)を蘇らせることは東西を問わず今の医学ではできませんが、弱った細胞の元気をある程度回復させることは可能性があります。

それにはひとが皆持っている自然治癒力といわれる能力が関係してきます。

漢方医学の特徴は、この自然治癒力を助けることで病気から回復させるという点にあります。

難聴に対しても同じです。

では漢方は難聴に対してどう対応するかです。

漢方の生理学・病理学では陰陽五行論という理論が基本にあります。

耳などの感覚器官は内臓とつながって連携して働いているとされます。

耳は腎とつながっており、難聴のもとは腎の不調が関係するとして治療するのが原則です。

現代医学の腎臓とはイコールではありません。

耳に血液・体液・栄養を補給するポンプの役目をしているのが腎臓です。

機能低下した聴覚を回復するには、いたんだ箇所を修復する材料となる栄養物質を送り届ける必要があります。

そのためには腎が正常に機能していることが重要というわけです。

五臓六腑といいますが腎は他の臓腑と調和とれてはじめて正常に機能することができます。

すべての臓器が健康であることが真の健康です。

特に肝腎かなめの言葉があるように、腎と肝が要になります。

陰陽、虚実、寒熱、気血水というような色々な物差しで体全身のバランスの崩れをを見ていきます。

その歪を天然物で是正しようというのが漢方です。

難聴の場合も聴覚にかかわる組織の細胞に栄養を送っていたんだところを修復し元気を回復させようというわけです。

従って、耳に良い栄養の摂取と腎の正常な機能が大切になります。

栄養として重要なのは腎を助ける、カン味(塩辛い味)の食物の補給です。

ミネラル豊富な食物、天然塩、海藻、などです。

http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-bfd3.html

老人性難聴の対応に腎を助ける処方が不可欠になります。

八味地黄丸という処方が代表です。

http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/yomidr-52ec.html

また、耳は体の側面に位置します。

側面の部位の異常に対応する薬物に柴胡という漢方薬があります。

この柴胡を配合した処方も繁用されます。

コエンザイムQ10が難聴予防になるというニュースも出たことがあります。

http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/yomiuri-onlin-2.html

人間と機械との大きな違いのひとつは、機械は部品ごとに取り外して修理できますが人間は臓腑器官を分離して修理することはできないことにあります。

西洋医学はいたんだ部分に限定して対応するしますが漢方は全身症状を見て歪を是正する対応を取りますので難聴に対して試してみる価値はあると思います。

以上一般的な話になりました。

お会いできれば的確なアドバイスができるかと思いますが、いずれにしても漢方に詳しいドクターか薬局の漢方家に会って相談されてお話をお聞きになることがよいと思います。

 

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2012年2月 2日 (木)

血圧測定は両腕で 左右の差、血管の病気発見に有効

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朝日新聞デジタル:血圧測定は両腕で 左右の差、血管の病気発見に有効 - アピタル(医療・健康) 2012年2月1日21時15分

 血圧は左右の腕でそれぞれ測ったほうがいい――英ペニンシュラ医科歯科大などのチームがそんな研究結果を30日付英医学誌ランセット(電子版)に発表した。左右で差が大きいと、手足や脳などの血管の病気の危険が高いことがわかるという。

 チームは心臓が収縮するときの血圧(最高血圧)を扱った28の論文を調べた。左右の差が15ミリHg以上あると、手足の動脈が狭くなったり、動脈硬化が進んだりする危険が2.5倍になり、認知症などにつながる脳血管障害が起きている危険も1.6倍になっていた。また循環器の病気で死亡する危険も1.7倍だった。重要なのは血圧の差で、左右の腕のどちらが高いかは人によって異なるという。

 論文は「臨床的に意味がある左右の差の理由はよくわからない」としつつ、今回の結果は、左右の血圧の差は手足の血管の病気によるとする欧州高血圧学会と欧州心臓学会の見解を裏付けるとしている。

 現在、動脈硬化を調べる方法として足首で測った血圧と腕で測った血圧の比較が行われているが、チームは両腕の血圧測定を検診などに取り入れることを勧めている。(冨岡史穂)

漢方では人体の左右どちらに症状が強いかを重要視する。
漢方の基本に陰陽論があり、陰陽という基準の物差しがあるからである。

自然界の陰陽については

      陰           陽

      地           天
      下           上
      裏           表
      内           外
      右           左   などとし、

人体の陰陽については

      寒           熱
     下半身        上半身
    上半身       上半身
         下半身       下半身

      湿           乾
      水           血
      腹           背
      内           外

などと規定され、上半身と下半身で左右の陰陽が逆転する。

また、水は陰で血は陽なので、「病因論的気血水論」では、右上半身の異常は水毒(水滞)証と捉え、左上半身の異常は血(毒)証と捉える。
(下半身では逆になる)
そしてそれぞれ、水剤、血剤で対応するのが原則である。

この理論を血圧に適応すると、右腕の血圧が左より高い人は水毒証が強く、左腕の血圧が高い人は血毒証が強いと考えることになる。

最終的には全身の他の症状と合わせて総合的に考察して証が決定される。

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2011年12月27日 (火)

重病のシグナル 赤ら顔

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重病のシグナル!?ドキッその赤ら顔ヤバイよ ゲンダイネット

食道がんのリスク12倍
<典型的な体質・症状>

 忘年会シーズン。酒を飲んで顔が赤くなる人は多いが、このタイプはすい臓がんや食道がんのリスクが高いことをご存じか。また、飲んでもいないのに普段から顔が赤い人は、胃炎や脳梗塞、うつなどさまざまな病気の危険性大――。たかが赤ら顔と侮れないのだ。
「酒を飲むとすぐ真っ赤になっちゃって、恥ずかしい……」
 酒の席でよく聞くセリフだが、実は笑い話では済まされない。
 愛知県がんセンター研究所の研究によれば、悪酔いの原因とされるアセトアルデヒドを分解する能力が低い人=飲むとすぐ顔が赤くなる人は「すい臓がんにかかるリスクが通常の1.5倍」であるという。
 また、世界保健機関(WHO)は「飲酒で顔が赤くなりやすい人の食道がんの発症率は、赤くならない人に比べて最大12倍」と報告している。
 日本人の約4割が“顔が赤くなるタイプ”だから、他人事ではないのだ。

 実際、酒を飲まなくても顔が赤っぽい人は多い。赤ら顔は、毛細血管が拡張して皮膚の血液量が増えたり、うっ血したりすることにより起こる。その原因はさまざまで、アトピー性皮膚炎などの炎症、ホルモンバランスの乱れ、自律神経の崩れなどが挙げられる。

「赤ら顔は重篤な病気のシグナルの可能性もあるのです」
 こう言うのは、中医師で「薬石花房 幸福薬局」代表の幸井俊高氏。漢方の視点からみると、次の8つの証(しょう)(体質や病状)の人に、赤ら顔が現れやすいという。
(1)湿熱(しつねつ)…熱や湿気がこもりやすい。酒を飲むとすぐ赤くなる人→胃炎、肝炎、胆のう炎などの恐れ
(2)血於(けつお)…血流が停滞しやすい人→脳梗塞、心筋梗塞
(3)津虚(しんきょ)…体液が不足しがち。乾燥肌→胃炎、気管支炎、風邪
(4)陰虚…体液や栄養が足りない体質。顔のほてりや口の渇き→糖尿病、高血圧、肝炎
(5)胃熱…消化器系に炎症を起こしやすい人。暴飲暴食がち。脂性→胃炎、胃・十二指腸潰瘍、口内炎
(6)肝鬱…緊張しやすい。憂鬱気味…自律神経失調症、うつ病
(7)肝火(かんか)…いらいらしやすい。目の充血→高血圧、頭痛
(8)風熱(ふうねつ)…皮膚に炎症が生じやすい→脂漏性皮膚炎、にきび、アトピー性皮膚炎
「どれも漢方薬や食生活の改善で対処できます。しかし、たかが赤ら顔と放っておくと重症になる危険性があります。まずは自分がどんな体質か突きとめることが肝心です」
 さっそく鏡で自分の顔をチェックだ!   

漢方には上記に書かれていない気血水という重要な物差しがある。

顔が赤いのは原則的には血証の一つと捉える。
血証は人体の陽の部分に症状が強く現われる。
すなわち左上半身、右下半身に症状が強く現われる。
左の頭・首・肩や腕のこりや痛みなどの異常、右の腰・下肢・ひざの異常。

血証は体のどこかに熱や炎症があることを意味している。

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2011年11月14日 (月)

公開漢方セミナー、28日に開催

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公開漢方セミナー、28日に開催 : アラカルトニュース : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞)

市民公開漢方セミナー「漢方が、あなたのためにできること」(日本漢方生薬製剤協会主催)が、11月28日(月)午後6時半から、東京都中央区の浜離宮朝日ホール小ホールで開催される。

 熊谷由紀絵・横浜朱雀漢方医学センター長が、漢方治療の受診方法や漢方薬服用のノウハウ、健康を守るライフスタイルなどについて、基礎知識をわかりやすく講演する。

 参加費は無料だが、聴講券が必要。申し込みとセミナーの詳細は、日本漢方生薬製剤協会ホームページ(http://www.nikkankyo.org/topix/lecture.html)へ。

(2011年11月14日 読売新聞)

漢方に関心のある方、参加費不要ということですから参加してみてはいかがですか。.

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2011年9月27日 (火)

がんのサポート外来 “次の一手”が患者の救いに

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【漢方のちから】(3)がんのサポート外来 “次の一手”が患者の救いに+(1/2ページ) - MSN産経ニュース 2011.9.27 07:51

 日本初のがん専門医療機関として70年前に開設されたがん研有明病院

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(東京・有明)。今も国内有数のがん治療・研究の拠点である同病院の総合内科内に「漢方サポート外来」ができて5年になる。同病院で治療中の患者はもちろん、他の医療機関からの患者の紹介も多く、これまで治療を受けた患者は2千人に達する。

「がん証」

 診療を担当する消化器内科の星野恵津夫部長は「手術、放射線、抗がん剤を組み合わせた集学治療で、多くのがんは治るようになってきた。しかし、それらを駆使しても治らないがんも多い。また、命は助かっても長期間治療の後遺症に苦しむ患者さんは少なくない。西洋医学に限界を感じたとき、漢方が“次の一手”として役立つことは多い」と説明する。

 同外来を訪れる患者の訴えは、だるさ▽食欲不振▽不眠・不安▽冷え▽吐き気▽夜間頻尿▽下痢・便秘▽腹部膨満▽放射線治療後の口腔(こうくう)乾燥▽抗がん剤による味覚異常や手足のしびれ▽乳がんホルモン療法中のホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)-など多岐にわたる。共通するのは、こうしたさまざまな症状によって気力と体力が低下し、元気がないということだ。「この特殊な状態を私は『がん証(しょう)』と呼んでいるが、これは体が機能失調を起こした状態であり、“補剤”と呼ばれる漢方薬で改善する」と星野部長。

 補剤とは、人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)、当帰(とうき)、茯苓(ぶくりょう)などの生薬が配合された漢方薬のこと。このような漢方薬は10処方ほどあるが、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)▽人参養栄湯(にんじんようえいとう)▽補中益気湯(ほちゅうえっきとう)-の3つは「三大補剤」と呼ばれ、がん患者に頻用される。適切な補剤を用いると、胃腸と精神の働きが回復して、快食・快眠・快便となり、患者の多くはがんの治療に前向きになるという。

 星野部長は、患者の状態によって三大補剤を段階的に使い分ける。がんと診断された当初、精神的ストレスにより不眠や不安、いらいらなどの精神症状が前面に出た第1段階では補中益気湯。がんが進行し、さまざまな治療の影響もあって、気力のみならず体力も低下した第2段階では十全大補湯。そして、がんがさらに進行し、少し歩いても息が切れ、せきなどの呼吸器症状を伴う第3段階では人参養栄湯を処方する。また、一日のほとんどを寝て過ごし、下痢や冷えが強く、全身衰弱が進んだ最終段階の患者には茯苓四逆湯(ぶくりょうしぎゃくとう)を用いる。

総力戦で臨む

 がん専門医の中には、漢方を使うことに否定的な医師もいる。一方で、漢方を用いる医師の中には、西洋医学的な治療を否定し、漢方のみの治療に切り替えるよう勧める医師もいる。星野部長は「がんに対しては“総力戦”で臨まなければいけない。そのため、がん診療専門医は西洋医学と漢方医学の両者の利点と欠点に精通している必要がある」と指摘する。

 ただ、残念ながら西洋医学を基本にした医学教育を行っている日本では、漢方と西洋医学の治療法を十分使いこなせる医師は少ないのが現状で、漢方もできる医師の育成が急務となっている。(平沢裕子)

                   ◇

用語解説証(しょう)

 西洋医学ではインフルエンザや高血圧など病名に基づいて薬を処方するが、漢方では患者の「証」を推定して漢方薬を処方する。証は、患者の体質・病状・他覚的な所見を合わせたパターン(類型)のこと。例えば、総合感冒薬は「かぜ」という病名に対する薬だが、漢方では葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、麦門冬湯(ばくもんどうとう)などを体質や症状をみながら使い分ける。よく使われるのが「虚証」と「実証」で、虚証はきゃしゃな体形ですぐ疲れるタイプ、実証はがっしりして元気がありあまっているタイプのことをいう。

関連過去記事

がん治療に漢方 東西両医学で環境整備 09/12/26

東西医学の生理(学)、病理(学)が一致する接点が増えることが先行して、その後に医療面での東西の正しい融合が進んでいくのが道筋のような気がします。

気の問題など現代医学で解明されていない問題だけでなく、人間工学的な漢方理論の追究が進み、漢方家の間で定説が定着する状況が望まれます。

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2010年12月11日 (土)

インフル、漢方も選択肢に 耐性ウイルス対策にも

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リンク: インフル、漢方も選択肢に 耐性ウイルス対策にも 医療新世紀 - 47NEWS(よんななニュース). 2010.12.07

 インフルエンザの流行時期が迫ってきた。タミフルやリレンザなどの治療薬は今シーズンも十分な量が供給される見通しだが、特定の薬を大量に使い続けると、薬が効かない耐性ウイルスが出現する懸念もある。千葉大の巽浩一郎教授(呼吸器内科)は「選択肢を増やす意味でも、漢方薬による治療を考えてみてはどうか」と提案する。
 巽教授がインフルエンザの治療に適したものとしてまず挙げるのは、補中益気湯と麻黄湯という漢方薬だ。
 補中益気湯は、気力や胃の機能回復、炎症を抑える作用を持った生薬などを組み合わせた薬で、体力の低下した人に使われることが多い。体が持っている防御機能を高める働きがあり、マウスの実験ではインフルエンザ感染後の生存率を改善したとのデータもある。「老人施設などで予防のため飲んでもらう方法もある」と巽教授は話す。
 麻黄湯は、汗を出したり気管支を広げたりして病気に対抗する麻黄などの生薬からなる。普段は体力のある子どもや若い人に症状が出た場合に使えば、タミフルなどとは違った作用の仕方で、同等の効果が期待できるという。麻黄湯といくつかの成分が共通する葛根湯も有望だ。

 ただ、巽教授は「気管支炎だけでなく肺炎も起こして重症化したような人には漢方薬はまずい」と注意を呼び掛ける。比較的軽く済みそうな人を選び、みんなが同じ薬を使うのを避けるための選択肢として使うことが、耐性ウイルスの出現を抑えるためにも望ましいとしている。
 これらの薬は、漢方に理解のある医師に処方してもらえる。また、処方せん無しで薬局で買えるものもあるという。

関連過去記事

新型インフルは漢方で治る 週刊朝日 09/05/13

新型インフル 妊婦を守れ 漢方薬 09/09/24

新型インフル、漢方が予防効果 10/04/12

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2010年12月 8日 (水)

伝統医学に“共通言語” WHOが作成へ

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リンク: 伝統医学に“共通言語” WHOが作成へ - 47NEWS(よんななニュース).

 世界保健機関(WHO)は6日、漢方やはりなどの伝統医学で使われる病名や施術名などの用語をまとめた「伝統医学国際分類」の作成に着手したと発表した。伝統医学に関する世界の“共通言語”を作る初の試み。

 計画の中心メンバーの1人、慶応大の渡辺賢治漢方医学センター長によると、伝統医学はどんな治療にどの程度の効果があるかといったデータ収集や評価、国際的な情報交換が進んでいない。

 そこで、まず日中韓を中心とした東アジア起源の伝統医学について、用語の共通点や相違点を整理。2014年までに作業を終える見通し。

 WHOは西洋医学について「国際疾病分類」という体系をまとめており、現在は第10版。15年に改訂の見込みで、伝統医学は第11版に組み入れることを目標にしている。2010/12/06 21:59   【共同通信】

3,4年、刮目して待とう。

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2010年7月28日 (水)

新型インフル予防に「補中益気湯」

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リンク: 【漢方のちから 今、医療の現場で】(3)新型インフル予防に「補中益気湯」 (1/2ページ) - MSN産経ニュース.

 西洋医学も治せぬ患者に

 漢方を処方している医師の多くが「漢方薬を飲んでいると風邪をひかない」という印象を持っている。では、本当に漢方は風邪の予防に役立つのだろうか?

 これを初めて臨床で確かめた研究が昨年12月、英の医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』オンライン版に掲載された。厳密にいえば、対象とした病気は風邪ではなく、豚由来の新型インフルエンザ(H1N1)。昨年9月からの2カ月間東京都板橋区の愛誠(あいせい)病院で漢方薬の補中益気湯(ほちゅうえっきとう)を飲んだ群179人と飲まない群179人で、感染に差があるかを調べた。結果は、飲んだ群では1人、飲まない群では7人の感染で、有意差があった。

 研究を行った帝京大医学部外科の新見正則(にいみまさのり)准教授は「思っていたよりもはっきりと差が出たので私自身もびっくりした」と振り返る。

中止後も感染なし

 補中益気湯を選んだのは、補中益気湯は元気をつける薬で、免疫力を上げるとの動物実験も報告されていたからだ。飲む飲まないは本人の希望に任せたものだが、飲んだ群のうち14人は「苦くて飲めない」などの理由で1週間で服用を中止した。「補中益気湯は元気があり余っている人が飲むと、時々違和感が生じる。中止した人たちもその後感染していないことから、この人たちは既に十分元気と考えれば漢方的には納得できる結果だ」と新見准教授。

 臨床研究で結果の信頼性が最も高いとされるのは、薬を飲む飲まないを本人の意思と関係なく無作為に割り付け比較する「ランダム化比較試験(RCT)」だ。

 今回の研究は無作為ではないだけに、信頼性をさらに高めるためにRCTを行うことが期待されるが、新見准教授は「抗がん剤のように副作用も強く値段も高い薬は、RCTで科学的エビデンス(証拠)を追求する必要があるだろう。でも漢方は副作用がほとんどなく、しかも安い。もちろん、この結果をもって補中益気湯がインフルエンザの予防に有効だと結論しようとは思っていないが、信じる人が飲めばそれでよい」というスタンスだ。

試してみる価値

 新見准教授は英・オックスフォード大学大学院での留学から帰国した約10年前、「漢方なんていらない」と考えていた。それが血管外科医として患者を診るうちに西洋医学では治せない多くの患者に遭遇、西洋医学の限界を感じる。これらの患者に漢方を処方したところ、4人に3人に症状の改善がみられ、喜んでもらえるようになった。

 新見准教授は言う。「西洋医学で治る病気は西洋医学で治療した方がよいが、西洋医学で治らない症状や訴えを持つ患者さんは漢方を試してみる価値がある。漢方嫌いの医師はまだ多いが、困っている患者さんが漢方の恩恵を受けられるように、必要性を理解してほしい」(平沢裕子)

                   ◇

 ■組み合わせで効果アリ

 漢方は複数の生薬が組み合わさることで効果があることを新見准教授は動物実験で証明、学会誌『Transplantation(2009)』に掲載された。12生薬からなる柴苓湯(さいれいとう)は心臓移植後のマウスの拒絶反応を抑える効果がある。そこで柴苓湯から一生薬を抜いた柴苓湯を12種類作り、移植後のマウスに与え、拒絶反応が起こるまでの日数を調べた。結果は12種類すべてで本来の柴苓湯のような効果がみられず、薬として12生薬すべてが必要なことを裏付けた。

関連過去記事

補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 09/03/21

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2010年6月29日 (火)

クローン病に「大建中湯」

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リンク: 【漢方のちから 今、医療の現場で】(2)クローン病に「大建中湯」 (1/2ページ) - MSN産経ニュース. 2010.6.29 07:37

■ 米で有効性確認の試験も

 今、製薬企業の多くで画期的な新薬が生み出せなくなっているといわれる。日本だけでなく海外でも同様の状況といえるが、海外の研究者が熱い視線を注いでいるのが日本の漢方だ。中でも医学研究で最先端をいく米国で、日本の漢方「大建中湯(だいけんちゅうとう)」を臨床に使うための研究が急ピッチで進められている。

 大建中湯は日本の医療用漢方の中で最も多く使われている漢方。これまでに分かっている臨床効果として、手術後の腸閉塞(へいそく)の予防や腹部膨満感・吐き気の改善などがあり、手術後の入院日数短縮にも貢献している。構成生薬はショウガ、ニンジン、サンショウ、麦芽糖とすべて食品としても用いられているもので、重篤な副作用がほとんどないのも特長だ。

 ≪国際的な評価≫

 日本では大腸がんや子宮頸(けい)がんなどの手術後に使われることが多いが、米ではクローン病など炎症性腸疾患の治療での効果も期待されている。クローン病は発症の原因が不明のため、根本的な治療法はない。特効薬として米で1998年、日本では02年から使われ始めた抗体医薬は高い効果があるものの副作用も強く、1年以上継続して使えるのは10人中3人程度。副作用で抗体医薬が使えない人、長期使用で効果がなくなった人には治療法がないのが現状だ。

 大建中湯クローン病での治療効果を検証している旭川医科大学外科学講座の河野透准教授(消化器病態外科学)は「大建中湯は腸管の血流を増やし、炎症抑制効果がある。クローン病を根本的に治すわけではないが、ベースとして使うことで従来の薬を使う頻度を減らすほか、炎症の再発防止ができるかもしれない」と手応えを感じている。

 河野准教授は5月、米国の大腸肛門外科医学会でこれまでの研究成果を発表、学会賞を受賞した。欧米の医学界では漢方はあくまでもハーブや鍼灸(しんきゅう)などと同じ代替補完医療の一つで、西洋医薬と同等の評価がされてこなかった。それだけに漢方の研究が国際的な医学学会で学会賞を受賞するのは画期的なことだ。こうした研究結果を踏まえ、米国の食品医薬品局(FDA)は大建中湯を使った二重盲検試験を認可した。現在、試験が行われているところで、有効性が期待されている。

 ≪国策として守る薬≫

 一方、長年、医療現場で漢方を使ってきた日本。昨年、政府の行政刷新会議の事業仕分けで、漢方を公的保険適用外にする結論が出されたことは記憶に新しい。患者や医師らから批判の声が上がり保険継続となったものの、漢方に対する政府の理解の低さが浮き彫りになった格好だ。

 河野准教授は「漢方の価値が日本国内でも正しく認識されていないのは残念なこと。ただ、漢方は日本から海外に発信できる唯一の薬で、国策としてこの医療を守り、研究を進める必要がある。日本人はこれまで海外の薬で多くの恩恵を受けてきたが、そのお返しとして今度は日本から漢方を世界に伝える責任がある」と話している。(平沢裕子)

大建中湯は、とても単純な処方構成。

蜀椒(ショクショウ:山椒)、乾姜(カンキョウ:乾燥した生姜)、人参(ニンジン:朝鮮人参)
と、膠飴(コウイ:水飴)。

高貴薬とされる人参以外は、ありふれた薬味・スパイスの食材。

重大な病気がこれで治るなんて信じられない。どうして?

秘密の一つは、辛味の効能にあり、理屈は 09/02/12エントリーの「辛味の食能」にあるとおり。

大建中湯は動いていない腸を動かすはたらきをする。

この薬が効くタイプの人は、日ごろの食事に辛味が不足している人に多い。
つまり、スパイス・香辛料類の摂取が少ない人に多い。

昔からの日本食は、中華や欧米食と比べて香辛料の使用が少ない。
200分の1といわれる。
肉を食べない菜食では香辛料を使う必要がなかったからである。
肉食が欧米に負けないくらい多くなった今の日本なのに、西洋並みに香辛料を使用することなく、逆に刺激物は控えめにするべしという間違った食習慣ができている。
そのために生じた辛温の気剤不足が、大建中湯で補われて治癒に向かうと言えると思う。

米国で有効性確認の試験を行うというが、大建中湯は辛温の気剤山椒、乾姜を含むので、炎症期に使うと火に油をそそぐ事になり悪化させてしまう危険がある。

欧米人は普段の香辛料の使用量が日本人よりはるかに多く、辛温の気剤不足の人は少ないはず。
その点を考慮に入れないと漢方治療は効果が出ない。

現に、クローン病の漢方治療に漢方家からは、瀉剤・補剤・柴胡剤・駆お血剤・脾胃剤など様々な対応をした有効例が報告されている。

漢方処方は西洋薬と同じに扱うのでなく、規定された漢方的使用条件の下で投薬されてはじめて有効性の確認が可能になるはずである。

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2010年6月14日 (月)

がん治療でも存在感 現代医療に広がる漢方(下)

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リンク: がん治療でも存在感 現代医療に広がる漢方(下) :日本経済新聞. 2010/6/11

 現代医療の最前線ともいえるがん治療でも、漢方の存在感は増してきた。西洋医学をひっぱってきた外科医も漢方の有用性に目覚め、効果的な使い道を探る。

 東京都世田谷区に住む大井恵さん(仮名、59歳)は6年前、中咽頭(いんとう)がんを患った。放射線治療と抗がん剤による化学療法でがんは克服したが、唾液(だえき)腺への放射線照射を避けられず、口の中がひどく乾く副作用に悩まされた。

 「ごはんやパンは水分なしでは食べられない。しゃべり続けることもできない、インフォームド・コンセントで口腔(こうくう)乾燥が起きると知らされてはいたが、こんなにひどくつらいとは……」

専門外来が一役

 2006年7月、癌研有明病院の漢方サポート外来を受診した。ここで「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」の3種類の漢方薬を処方された。2カ月後、口の中に唾液がたまりはじめ、パンも牛乳なしで食べられるようになった。体重も3キログラム増え、抑うつ状態も改善された。

 06年12月からはがんの再発を予防するため「十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「牛車腎気丸」の3種類に処方が変わり、今も毎日飲んでいる。

 「むくみも減り、今はまったく普通の生活に戻った。がん患者は何かに頼りたいが、体が元気になれば心も安定する」という。

 がん患者を専門とした漢方外来は珍しい。癌研有明病院は06年4月に漢方サポート外来を設置、星野惠津夫消化器内科部長が週2回、診ている。院内各科からの紹介が中心で現在の患者数は月200人にのぼる。がんの治療歴や問診、腹診などをもとに、体の状態を見極め、最適な漢方薬の組み合わせを選択し、処方する。

 がんになると、食欲がなくなり、手足が冷え、便秘や不眠に悩まされる。たとえ手術や抗がん剤でがんを退治したとしても、こうした自律神経系の不調が続く。星野部長は「がん患者は一種独特の体の状態にある。私はこれを『がん証』と呼ぶ。手術が嫌だから漢方で治してくれといわれても無理だが、がん証から抜け出すには漢方の力が大きい」と語る。

 大井さんも服用している牛車腎気丸。この漢方薬が実は抗がん剤「オキサリプラチン」の治療効果を最大限引き出せそうなこともわかってきた。

外科医から注目

 オキサリプラチンは手術ができない進行・再発大腸がんの標準治療としてほかの抗がん剤と併用して使う。高い延命効果が期待できる半面、神経毒性がとても強く長い間投与すると強いしびれに見舞われる。ほかの抗がん剤にはあまりない副作用で、治療を途中で断念せざるをえないこともよくある。

 旭川医科大学の河野透・准教授(消化器病態外科)は、皮膚血流を増やす作用のある牛車腎気丸を併用すると、神経毒性からくるしびれが軽くなることを突き止めた。有効性を検証するため、09年5月から10年3月まで国内十数施設で93人を対象に比較試験を実施した。この結果が今年10月にわかる。「しびれが軽減されれば、抗がん剤治療を全うできるようになる」(河野准教授)

 内視鏡やロボットといった最先端医療技術を率先してがん治療に取り入れてきた北島政樹・国際医療福祉大学学長も、漢方にみせられた外科医の一人だ。海外で寄生虫疾患「アニサキス症」にかかりひどい腹痛と吐き気に襲われた際、漢方薬「大建中湯(だいけんちゅうとう)」に救われた。身をもって漢方は使えると確信した。

医療費の削減も

 漢方はがん治療における副作用の軽減のほか、「医療経済学的にも今後いっそう見直される」と北島学長はみる。大建中湯はおなかのはりをやわらげ、手術後に起きやすい腸閉塞(へいそく)を予防してくれる。大腸がん患者の術後入院日数を調べたところ、大建中湯を服用してもらうと、平均3.5日短くなることがわかった。約14万円の医療費削減効果という。

 大建中湯を巡っては、米国だけで50万人の患者がいる小腸の難病「クローン病」を対象に、シカゴ大学を中心に大規模な臨床試験に向けた準備作業が近く始まる。西洋医学の本場でも、漢方への期待度は大きい。

 もちろんがんが漢方だけで治るわけではない。手術や抗がん剤、放射線治療が基本であることには変わりない。ただ、病気だけと向き合って進歩してきた西洋医学のひずみが、漢方の活躍の場を広げている。

 「現代医療に広がる漢方」は編集委員・矢野寿彦が担当しました。

[日本経済新聞夕刊2010年6月11日付]

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