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2011年9月27日 (火)

がんのサポート外来 “次の一手”が患者の救いに

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【漢方のちから】(3)がんのサポート外来 “次の一手”が患者の救いに+(1/2ページ) - MSN産経ニュース 2011.9.27 07:51

 日本初のがん専門医療機関として70年前に開設されたがん研有明病院

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(東京・有明)。今も国内有数のがん治療・研究の拠点である同病院の総合内科内に「漢方サポート外来」ができて5年になる。同病院で治療中の患者はもちろん、他の医療機関からの患者の紹介も多く、これまで治療を受けた患者は2千人に達する。

「がん証」

 診療を担当する消化器内科の星野恵津夫部長は「手術、放射線、抗がん剤を組み合わせた集学治療で、多くのがんは治るようになってきた。しかし、それらを駆使しても治らないがんも多い。また、命は助かっても長期間治療の後遺症に苦しむ患者さんは少なくない。西洋医学に限界を感じたとき、漢方が“次の一手”として役立つことは多い」と説明する。

 同外来を訪れる患者の訴えは、だるさ▽食欲不振▽不眠・不安▽冷え▽吐き気▽夜間頻尿▽下痢・便秘▽腹部膨満▽放射線治療後の口腔(こうくう)乾燥▽抗がん剤による味覚異常や手足のしびれ▽乳がんホルモン療法中のホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)-など多岐にわたる。共通するのは、こうしたさまざまな症状によって気力と体力が低下し、元気がないということだ。「この特殊な状態を私は『がん証(しょう)』と呼んでいるが、これは体が機能失調を起こした状態であり、“補剤”と呼ばれる漢方薬で改善する」と星野部長。

 補剤とは、人参(にんじん)、黄耆(おうぎ)、当帰(とうき)、茯苓(ぶくりょう)などの生薬が配合された漢方薬のこと。このような漢方薬は10処方ほどあるが、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)▽人参養栄湯(にんじんようえいとう)▽補中益気湯(ほちゅうえっきとう)-の3つは「三大補剤」と呼ばれ、がん患者に頻用される。適切な補剤を用いると、胃腸と精神の働きが回復して、快食・快眠・快便となり、患者の多くはがんの治療に前向きになるという。

 星野部長は、患者の状態によって三大補剤を段階的に使い分ける。がんと診断された当初、精神的ストレスにより不眠や不安、いらいらなどの精神症状が前面に出た第1段階では補中益気湯。がんが進行し、さまざまな治療の影響もあって、気力のみならず体力も低下した第2段階では十全大補湯。そして、がんがさらに進行し、少し歩いても息が切れ、せきなどの呼吸器症状を伴う第3段階では人参養栄湯を処方する。また、一日のほとんどを寝て過ごし、下痢や冷えが強く、全身衰弱が進んだ最終段階の患者には茯苓四逆湯(ぶくりょうしぎゃくとう)を用いる。

総力戦で臨む

 がん専門医の中には、漢方を使うことに否定的な医師もいる。一方で、漢方を用いる医師の中には、西洋医学的な治療を否定し、漢方のみの治療に切り替えるよう勧める医師もいる。星野部長は「がんに対しては“総力戦”で臨まなければいけない。そのため、がん診療専門医は西洋医学と漢方医学の両者の利点と欠点に精通している必要がある」と指摘する。

 ただ、残念ながら西洋医学を基本にした医学教育を行っている日本では、漢方と西洋医学の治療法を十分使いこなせる医師は少ないのが現状で、漢方もできる医師の育成が急務となっている。(平沢裕子)

                   ◇

用語解説証(しょう)

 西洋医学ではインフルエンザや高血圧など病名に基づいて薬を処方するが、漢方では患者の「証」を推定して漢方薬を処方する。証は、患者の体質・病状・他覚的な所見を合わせたパターン(類型)のこと。例えば、総合感冒薬は「かぜ」という病名に対する薬だが、漢方では葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、麦門冬湯(ばくもんどうとう)などを体質や症状をみながら使い分ける。よく使われるのが「虚証」と「実証」で、虚証はきゃしゃな体形ですぐ疲れるタイプ、実証はがっしりして元気がありあまっているタイプのことをいう。

関連過去記事

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東西医学の生理(学)、病理(学)が一致する接点が増えることが先行して、その後に医療面での東西の正しい融合が進んでいくのが道筋のような気がします。

気の問題など現代医学で解明されていない問題だけでなく、人間工学的な漢方理論の追究が進み、漢方家の間で定説が定着する状況が望まれます。

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