HIV感染者、国内は増加傾向 短期で発症のウイルスも
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リンク: asahi.com(朝日新聞社):HIV感染者、国内は増加傾向 短期で発症のウイルスも - アピタル(医療・健康).2010年11月30日
日本でエイズウイルス(HIV)の感染者、患者が増え続けている。世界では減る傾向にあ
るのとは対照的だ。厚生労働省のエイズ動向委員会は29日、今年7~9月に新たに計368人が報告され、前年同期を上回ったと発表した。これまで感染から10年は発症しない人が多いといわれてきたが、近年、数年で治療が必要になる新タイプのウイルスが国内外で増加、専門医は「早く感染に気づき、治療開始を」と呼びかけている。
動向委員会委員長の岩本愛吉東大医科研教授は「新規報告の3割が、症状が出て初めて感染がわかった患者という点が一番気になる。発症前に治療すれば何十年も普通の生活ができるだけに、早期発見して欲しい」と強調した。
国連合同エイズ計画が23日に発表した報告書によると、過去10年間で世界のHIVの新規感染者は約20%減少した。しかし、日本を含めた東アジアでは増加した。関心の低さが一因とみられている。
保健所などでの無料検査、相談件数は2007、08年に20万件を超えたが、09年は新型の豚インフルエンザへの対応に保健所が追われたほか、関心が移ったことなどから19万件台に減少。今年は、昨年をさらに下回りそうだ。
さらに気になるデータがある。短期間で発症するウイルスが国内外で報告されている。
国際医療研究センター戸山病院の岡慎一エイズ治療・研究開発センター長が急性感染が確認された83人を調べると、3年後に治療が必要になった人が8割以上いた。「免疫から逃れるウイルスが増え、間違いなく発症がどんどん早くなっている」
早く治療を始めた感染者の方が、死亡率が低いという結果が海外で出ている。12月にエイズの「治療の手引き」改訂版をとりまとめる木村哲・東京逓信病院長は「一番大きな変更点は、より早期発見、早期治療の重要性が強調される点」と話す。
エイズ治療薬は20種類を超え、複数の薬を組み合わせてのむ「多剤併用療法(ART)」により、発症前に治療を始めれば約40年発症しないと考えられるようになってきた。ただし、どんな薬にも、効かない耐性HIVが必ず登場する。
注目されているのは、07年に発売が始まった「ダルナビル(一般名)」だ。従来の薬は標的が一つだったが、ダルナビルは標的が二つ。標的の片方が変異を起こして薬の攻撃を逃れても、もう一つ標的が残り、耐性が起きにくい。開発した満屋裕明・熊本大教授は「いわば二刀流の薬」と話している。
今年7月、約900人の女性が参加した南アフリカでの臨床試験の結果が注目を集めた。エイズ治療薬(濃度1%)入りのジェルを性行為の前と後の12時間以内に女性の体に塗ると、感染が約40~55%減ったという。(大岩ゆり)
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