血糖値上げる肝臓ホルモンを発見 金沢大
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肝臓が分泌するホルモンが、血糖値を下げるインスリンの働きを阻害し、糖尿病や高血圧など生活習慣病を引き起こすことを突き止めたと、金沢大医薬保健研究域医学系の金子周一教授らが3日付の米科学誌セル・メタボリズムに発表した。
金沢大で5日に記者会見した金子教授らによると、糖尿病になりやすい体質かどうかを判定する臨床マーカーや新薬の開発につながる可能性がある。肥満が軽度な人にも多い生活習慣病の発症に、脂肪組織以外の臓器が関与していることを明らかにしたのは初めてという。
金子教授らは、肝臓で働く遺伝子の解析を通じ、血糖値を上げるホルモン群「ヘパトカイン」を発見。糖尿病患者では、ヘパトカインの一種「セレノプロテインP」の血中濃度が高いことを確認した。
マウスの血糖値は、セレノプロテインPを注射すると上がったが、その後、インスリンを注射しても下がりにくかった。一方、肝臓でセレノプロテインPがつくられるのを抑えると、糖尿病マウスの血糖値は改善されたという。2010/11/05 16:55 【共同通信】
セレノプロテインPは、分子中にセレノシステインを含むタンパク質であり、ヒトではSEPP1遺伝子にコードされている[1][2]。血液中に見つかる主要なセレン化合物であり、セレノプロテインPのPは血漿(plasma)のPに由来する。
セレノシステインを含むタンパク質は通常、セレノシステインを1つだけ含有す場合が多いが、セレノプロテインPでは、分子中にセレノシステインを10個含んでいる。また、ヒトにおいてはC末端側が短い分子種が報告されている。これはセレノシステインをコードするコドンが終始コドンと同一であるため、メッセンジャーRNAからタンパク質への翻訳の途中で、タンパク質合成が止まってしまうためであるとの意見があるが、現在のところ明らかではない。
血液中に見つかるセレノプロテインPは、ほぼ肝臓で合成されると考えられており、役割はセレンの末梢臓器(特に脳および精巣)への輸送、あるいは貯蔵に関与していると見られるが、全容の解明には至っていない。また、活性酸素を消去するとの報告もあり、活性酸素の消去をセレノプロテインPの役割とする研究者もいる。
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