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2010年9月28日 (火)

認知症の周辺症状に 抑肝散(よくかんさん)

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リンク: 【漢方のちから 今、医療の現場で】(5)認知症の周辺症状に「抑肝散」 (1/2ページ) - MSN産経ニュース. 2010.9.28 08:25

 ■「持ち越し効果」介護負担も軽減

 現在、日本に約220万人の患者がいるとされ、高齢化に伴い増え続けている認知症。主な症状には、記憶力や判断力の低下などの「中核症状」と、抑鬱(よくうつ)や不眠、妄想などの「周辺症状」がある。

 中核症状は患者本人にとって大きな問題だが、患者を介護する家族にとっては周辺症状の方がより深刻な問題といえる。お金を盗られたと思いこむ物盗られ妄想、あちこち歩き回って家に帰れなくなる徘徊(はいかい)、昼夜逆転し夜中に騒ぐ…。こうした問題行動を含む周辺症状が在宅での治療を困難にする最大の原因にもなっている。

 周辺症状に対してはこれまで、主に抗精神病薬が使われてきた。不眠や不安の解消に高い効果があるためだ。しかし、認知症患者では転倒や死亡のリスクが高まることから、米国で2005年、認知症患者に抗精神病薬を使うのを控えるべきだとする勧告が出された。日本でも使う場合は慎重さが求められている。

  

涙ながらに感謝

 こうした中、注目されているのが漢方薬の「抑肝散(よくかんさん)」だ。もともと小児の夜泣きや疳(かん)の虫など精神的興奮に対して使われていた薬だが、20年以上前から認知症患者にも使われている。

 国立長寿医療研究センター病院(愛知県大府市)の鳥羽研二院長も、以前から臨床の場で抑肝散を処方していた。あるとき、患者の家族から「これまで母を殺して自分も死のうと思っていたが、抑肝散で母の症状が落ち着いた。これでまた母の面倒を見ていく気がおきました」と、涙ながらに感謝されたことがあった。「そうか、こんなに効くことがあるのか、と。それならきちんと治験をやった方がよいと思った」と鳥羽院長。

 東北大学などで行った比較試験で有効性が確認される中、さらに効果を深く検証するため、関東の20施設でクロスオーバー試験を実施。認知症患者106人をABの2群に分け、8週間の試験期間のうち、A群は前半4週間、B群は後半4週間に薬を服用してもらい、効果を検証した。両群とも薬を飲むことで症状の改善が見られたが、前半に服用したA群では薬を止めた後も4週間効果が持続しており、「持ち越し効果」があることが確認された。

 持ち越し効果によって薬を飲まなくてもよい期間ができるのは、副作用の軽減につながるので、患者にとっては大きなメリットだ。また、抑肝散は独特の苦みがあることなどから飲むのを嫌がる患者もいる。こうした患者に薬を飲ませるのは介護者にとっての大きな負担だが、休薬期間ができれば負担軽減にもなる。

  

さらなる研究を

 ただ、周辺症状は介護者の対応が変わることでも大きく改善される。抑肝散で患者が落ち着いたことで、介護者のイライラも減り、患者への対応が変わったことが持ち越し効果となった可能性もある。薬そのものに持ち越し効果があるといえるのか難しい面もある。

 鳥羽院長は「高齢者の医療・福祉は日本が世界に先駆けて開発した知識や制度も少なくない。漢方についてもさらに研究を進め、世界に広める必要がある」と話している。(平沢裕子)

                   ◇

 ■アイスと混ぜ服用しやすく

 独特の苦味やにおいのある漢方薬は、その飲みにくさが治療継続の足かせにもなっている。特に粉薬の抑肝散は服用後に粉が舌や歯にくっつき、飲むのを嫌がる患者も少なくない。

 ジオ薬局伊賀店(岡山県高梁市)の薬剤師、甲〆(こうじめ)慎二さんは、漢方薬と補助食品の飲み合わせを実験。抑肝散ではアイスクリーム、ヨーグルト、チョコクリーム、ピーナツクリーム、はちみつと合わせることで、かなり飲みやすくなった。甲〆さんは「アイスは冷感で味覚を鈍らせる効果も。どの食材も食べる直前に混ぜるのがポイント。ただ、認知症では服用の無理強いは禁物で、嫌がるときは時間をずらすなど工夫を」とアドバイスする。

過去記事 「アルツハイマーには漢方! 09/03/06」で抑肝散を取り上げている。
http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-90fc.html

抑肝散の処方構成は、ソウジュツ、ブクリョウ、センキュウ、トウキ、サイコ、カンゾウ、チョウトウコウという7種の漢方薬です。
血流を活発にする生薬の組合わせで、脳血流を改善し認知症の改善につながるのでしょう。
その他、よく使われる当帰芍薬散、黄連解毒湯、なども血剤中心の処方構成になっています。

当帰などには、アルツハイマーの原因物質β-アミロイドを抑制するフェルラ酸があることがわかっています。
このことも効果に関係していると考えられます。

現代医薬学的手法で漢方薬の薬理が解明されていくのは光明です。

漢方の特徴は、病んだ部位にだけスポットを当てるのではなく、有機的に関連する臓腑のバランスを整えることで回復させる点にあります。
そのことを踏まえた形で研究が進むことを望みます。

カテゴリー 認知症はこちら
http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/cat37239181/index.html

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