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2010年7月 3日 (土)

血管と骨老化の仕組み解明 大阪大と東京大

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リンク: 血管と骨老化の仕組み解明 大阪大と東京大チーム - 47NEWS(よんななニュース).

 血管が硬くなり心筋梗塞などの原因となる「石灰化」と、骨粗しょう症の二つの老化現象は同じタンパク質が引き金になることを大阪大と東京大のチームが解明し、米心臓病学会の専門誌電子版に2日発表した。

 これらの現象は高齢女性に起きる比率が高い。女性ホルモンのエストロゲンがこのタンパク質の働きを抑えているとみられ、チームの中神啓徳大阪大教授(老年病学)は「エストロゲンは更年期に急に減少するため、閉経後の女性に骨粗しょう症や血管の石灰化が増える理由を説明できる。骨粗しょう症の薬が石灰化の治療にも使えるかもしれない」としている。

 骨粗しょう症は、RANKLというタンパク質が骨を壊す細胞を活発化して悪化する。

 チームは、ヒトの血管でもRANKLが作られているのを発見。血管の細胞にRANKLを加えて培養すると、BMP2というタンパク質が増え、血管の一部が硬くなった。エストロゲンは骨を壊す細胞の活発化やBMP2の増加も抑えるとみられる。 2010/07/02 06:02 【共同通信】

日本薬理学学会のサイトに、RANKLに関連した記事がある。

RANK/RANKLの相互作用をターゲットとした骨吸収阻害薬の開発
http://plaza.umin.ac.jp/JPS1927/fpj/topic/topic_123_47.htm

骨粗鬆症は骨量の減少が起こり,骨の微少構造が劣化することにより,骨折を来す可能性が高くなる病気である.日本人の60歳代の女性の29.6%,70歳代で44.3% の人が骨粗鬆症疾患ではないかと推定されている.特に女性に多い理由は,閉経後に起こるエストロゲン分泌低下により骨吸収が増加し,骨形成を上回ることにより骨量減少が起きることである.そのため各種のエストロゲン様薬物が治療薬として開発されてきた.しかし,エストロゲン製剤の持つ生殖器作用などの副作用により有用性が乏しいと判断され,新規のエストロゲン薬の開発が望まれている(日薬理誌. 2003;121:365).一方,強力な骨吸収抑制作用を示すビスホスホネートは骨塩に沈着してその薬理作用を発揮するが,アミノ基を含む製剤が市販されるに至り,骨粗鬆症治療のゴールデンスタンダードとして認知されつつある.ビスホスホネートは骨に沈着することが大きな特長の一つであるが,それは逆に考えると長期間骨に蓄積されることを意味し,そのことにより骨代謝を低回転状態に維持することが骨の健康に本当によいかどうかは実証されていない.そこで,投与を中断すればすぐに効果がなくなるようなON/OFF のはっきりした骨吸収阻害薬が臨床的に有用であると考えられ,その開発が進められている.その際もっとも重要な創薬標的は,破骨細胞分化因子として同定されたサイトカインRANKL(receptor activator of NF-κBligand)である(Endcr Rev. 1999;20:345-357).RANKLはTNF リガンドファミリーに属する膜結合型サイトカインとして骨芽細胞をはじめとする破骨細胞形成支持細胞上に発現している.RANKL の受容体RANK は破骨細胞前駆細胞上に存在しており,骨芽細胞と破骨細胞前駆細胞がcell-cell コンタクトすることにより,RANKL/RANK 結合が起こり,RANK 細胞内ドメインにTRAF6(TNF receptorassociated factor6)が結合し,破骨細胞の分化・骨吸収活性に必要な情報伝達経路が活性化される.TRAF 結合以降の情報伝達経路は多様であり,表のようにまとめることができる.
ここで破骨細胞分化におけるRANKL/RANK シグナル伝達を阻害する薬物を見つけ出す試みの中で注目をあびている研究について紹介する.TNF /TNF 受容体の結合関係において,機能的に重要な接触ポイントの立体構造に似せた環状ペプチドWP9QY は低分子量ながらTNF と 型TNF 受容体との結合を阻害する.このWP9QY はTNF のアンタゴニストとして機能するばかりでなく,RANKL のアンタゴニストとしても働き,破骨細胞形成を抑制して骨吸収抑制作用を示し,in vivo において骨粗鬆症モデルである卵巣摘出マウスの骨吸収を抑制することが明らかにされている(Bone. 2003;32:S215).また炎症性疾患であるリュウマチ関節炎モデルマウスにおいて,WP9QY は骨吸収を抑制すると同時に関節炎の進行を抑制することが示されている.したがってWP9QY は抗炎症効果と骨吸収抑制効果を併せ持つユニークなペプチドアンタゴニストである.このペプチドは小分子量であるため,OPG(osteoprotegerin)製剤やRANKL 抗体など免疫原性を示す可能性のある製剤と違って,中和抗体産生などの効果減弱が起こりにくいことが予想されている.
一方,RANK/RANKL 相互作用の下流シグナル伝達系を標的とした試みは次のようなものがある.アメリカ・イエール大学のGhosh のグループはTNF 受容体下流にあるNF-κB シグナルを制御するIκB(inhibitor of κB)リン酸化酵素(IκB-kinase)を阻害するNBD(NEMObindingdomain)ペプチドが,NF-κB の転写活性抑制を示すことを明らかにした(Science. 2000;289:1550-1554).このNBD ペプチドはRANKL/RANK 下流のNF-κB を阻害する可能性が考えられており,in vitro における破骨細胞の分化・誘導・骨吸収能力の抑制ならびにin vivo においてLPS 誘導による骨吸収,リュウマチ疾患モデルにおける骨吸収を抑制する効果を示すことが示されている(Bone.2003;32:S75).したがってNBD ペプチドはNF-κBへのアンタゴニストとして破骨細胞機能を抑制して,炎症性骨破壊を防止する薬物として働くのではないかと考えられている.
RANK/RANKL 相互作用が破骨細胞分化・誘導・活性化に必須の因子であることが判明した1998年以降,次々とその下流の情報伝達システムが明らかにされて,それを創薬標的とした薬物開発が競争的に行われている.今後の研究の新展開により骨吸収抑制と骨量増加をもたらす新規薬物の創生が期待される.

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