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2010年6月14日 (月)

がん治療でも存在感 現代医療に広がる漢方(下)

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リンク: がん治療でも存在感 現代医療に広がる漢方(下) :日本経済新聞. 2010/6/11

 現代医療の最前線ともいえるがん治療でも、漢方の存在感は増してきた。西洋医学をひっぱってきた外科医も漢方の有用性に目覚め、効果的な使い道を探る。

 東京都世田谷区に住む大井恵さん(仮名、59歳)は6年前、中咽頭(いんとう)がんを患った。放射線治療と抗がん剤による化学療法でがんは克服したが、唾液(だえき)腺への放射線照射を避けられず、口の中がひどく乾く副作用に悩まされた。

 「ごはんやパンは水分なしでは食べられない。しゃべり続けることもできない、インフォームド・コンセントで口腔(こうくう)乾燥が起きると知らされてはいたが、こんなにひどくつらいとは……」

専門外来が一役

 2006年7月、癌研有明病院の漢方サポート外来を受診した。ここで「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」の3種類の漢方薬を処方された。2カ月後、口の中に唾液がたまりはじめ、パンも牛乳なしで食べられるようになった。体重も3キログラム増え、抑うつ状態も改善された。

 06年12月からはがんの再発を予防するため「十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)」「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「牛車腎気丸」の3種類に処方が変わり、今も毎日飲んでいる。

 「むくみも減り、今はまったく普通の生活に戻った。がん患者は何かに頼りたいが、体が元気になれば心も安定する」という。

 がん患者を専門とした漢方外来は珍しい。癌研有明病院は06年4月に漢方サポート外来を設置、星野惠津夫消化器内科部長が週2回、診ている。院内各科からの紹介が中心で現在の患者数は月200人にのぼる。がんの治療歴や問診、腹診などをもとに、体の状態を見極め、最適な漢方薬の組み合わせを選択し、処方する。

 がんになると、食欲がなくなり、手足が冷え、便秘や不眠に悩まされる。たとえ手術や抗がん剤でがんを退治したとしても、こうした自律神経系の不調が続く。星野部長は「がん患者は一種独特の体の状態にある。私はこれを『がん証』と呼ぶ。手術が嫌だから漢方で治してくれといわれても無理だが、がん証から抜け出すには漢方の力が大きい」と語る。

 大井さんも服用している牛車腎気丸。この漢方薬が実は抗がん剤「オキサリプラチン」の治療効果を最大限引き出せそうなこともわかってきた。

外科医から注目

 オキサリプラチンは手術ができない進行・再発大腸がんの標準治療としてほかの抗がん剤と併用して使う。高い延命効果が期待できる半面、神経毒性がとても強く長い間投与すると強いしびれに見舞われる。ほかの抗がん剤にはあまりない副作用で、治療を途中で断念せざるをえないこともよくある。

 旭川医科大学の河野透・准教授(消化器病態外科)は、皮膚血流を増やす作用のある牛車腎気丸を併用すると、神経毒性からくるしびれが軽くなることを突き止めた。有効性を検証するため、09年5月から10年3月まで国内十数施設で93人を対象に比較試験を実施した。この結果が今年10月にわかる。「しびれが軽減されれば、抗がん剤治療を全うできるようになる」(河野准教授)

 内視鏡やロボットといった最先端医療技術を率先してがん治療に取り入れてきた北島政樹・国際医療福祉大学学長も、漢方にみせられた外科医の一人だ。海外で寄生虫疾患「アニサキス症」にかかりひどい腹痛と吐き気に襲われた際、漢方薬「大建中湯(だいけんちゅうとう)」に救われた。身をもって漢方は使えると確信した。

医療費の削減も

 漢方はがん治療における副作用の軽減のほか、「医療経済学的にも今後いっそう見直される」と北島学長はみる。大建中湯はおなかのはりをやわらげ、手術後に起きやすい腸閉塞(へいそく)を予防してくれる。大腸がん患者の術後入院日数を調べたところ、大建中湯を服用してもらうと、平均3.5日短くなることがわかった。約14万円の医療費削減効果という。

 大建中湯を巡っては、米国だけで50万人の患者がいる小腸の難病「クローン病」を対象に、シカゴ大学を中心に大規模な臨床試験に向けた準備作業が近く始まる。西洋医学の本場でも、漢方への期待度は大きい。

 もちろんがんが漢方だけで治るわけではない。手術や抗がん剤、放射線治療が基本であることには変わりない。ただ、病気だけと向き合って進歩してきた西洋医学のひずみが、漢方の活躍の場を広げている。

 「現代医療に広がる漢方」は編集委員・矢野寿彦が担当しました。

[日本経済新聞夕刊2010年6月11日付]

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