エース「忠富士」殺処分、関係者に衝撃広がる
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大動物の肉を食すとはどういう事なのかを考えさせられてしまう。
リンク: エース「忠富士」殺処分、関係者に衝撃広がる : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞).
感染の拡大が続く家畜伝染病「口蹄疫」問題で、宮崎県家畜改良事業団(高鍋町)から避難していた“宮崎の宝”の種牛にも22日、最悪の形で影響が及んだ。
特例措置として西都市に移っていた6頭のうち、感染した「忠富士」が殺処分され、県内の関係者には衝撃が広がった。この日は、ワクチン接種の作業もスタート。防疫体制は日ごとに強化され、県内各地では流行拡大防止に向けた懸命の取り組みが続いている。
西都市の橋田和実市長によると、21日午後10時頃、県畜産課から種牛1頭の感染に関する連絡が入ったという。市長は「6頭がいれば、宮崎の畜産は再起できると思っていた。『宮崎』の銘柄がなくなってしまうかもしれない」と嘆いた。今は、残り5頭が発症しないことを願うばかりだ。
スポーツ選手や有名人が多く訪れる宮崎牛専門の焼き肉店「焼き肉の幸加園」(宮崎市)の長友幸一郎社長(67)は「言葉にならないほどの衝撃だ。これじゃ、宮崎牛になる牛が本当に少なくなってしまう」と危機感を募らせた。
畜産関係者のたゆまぬ努力をつぶさに見てきただけに「今回の危機を乗り越えて、関係者はさらにいい種牛を作ろうと頑張っていくはず。私たちも良い肉を吟味してお客様へ提供していきたい」と力を込めた。
熊本県の実家が和牛の繁殖を営む宮崎大3年の中村陽芳(はるか)さん(20)は「長年改良を重ねて作り上げてきた歴史が、口蹄疫の発生で一瞬にして崩れてしまった」。
被害を受けた農家を支援しようと、学内で募金活動などを企画してきた。「日本の畜産を左右する大変な問題だ。発生が最初に確認された時点で、なぜ種牛を安全な場所に移さなかったのか」と語り、行政の対応を批判した。
出張を兼ねて、県内へ帰省していた徳島市南内町の会社員、米良芳子さん(32)も「非常に残念。最後の1頭だけでも感染していないことを願っている。全頭に感染したとはまだ決まっていないので、最後の最後まで、望みを捨てたくはない」と語った。
同市の会社員女性(50歳代)は「宮崎牛は安心なのでこれまでも買ってきた。できれば、残る5頭は殺してほしくない。肉の値段が高くなるなど、いろんな所に影響が出てくるのではないか」と心配していた。
◇
一方、初日のワクチン接種では、東国原知事や、政府現地対策チーム本部長の山田正彦・農林水産副大臣も現場を視察した。
高鍋町の畜産農家の男性(68)も今後、接種の対象になる見通しだ。21日に特例措置で避難した種牛を父親とする雄の子牛1頭が生まれたばかり。22日朝も牛舎で母牛の乳に吸いつき、元気よく乳を飲む子牛を見てきた。
男性は「我が子以上に大切に育ててきたのに、国は、生まれて2日目の子牛すら殺せという。手や顔をなめてくる牛の顔を見たら、涙が止まらない。これほど惨めな思いをしたことはない」とため息交じりに語った。
地元では感染が拡大して以降、根拠のないうわさが飛び交い、農家同士も互いに疑心暗鬼になっている。「どうやってワクチン接種を行い、どんな生活支援を受けられるかの情報が少なすぎる。国はきちんと説明するべきだ」と不信感をあらわにした。
(2010年5月23日11時36分 読売新聞)
宮崎、九州の種牛の現況については、読売のスキャナーのサイトにまとめがある。
リンク: 全国の産地「不安」 競り中止、子牛供給ストップ : 口蹄疫 : ニュース特集 : 九州発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
. 家畜伝染病「口蹄疫」の影響が全国に広がっている。宮崎県ばかりか、九州のほぼ全域で子牛の競りが中止に追い込まれ、その結果、松阪牛など全国有数の高級牛肉の生産にも影を落とし始めた。
◆松阪牛など生産に支障
「もはや宮崎だけの問題ではない。日本の畜産業にとって非常事態だ」。宮崎県都城市の久留雅博さん(45)は疲れ切った表情で語る。
久留さんは種牛や子牛など160頭を飼育し、毎月、手塩にかけて育てた子牛を競りにかけて生計をたててきた。だが口蹄疫の発生以来、感染拡大を恐れ、競りは次々と中止になった。収入が途絶えても、餌代は毎月100万円かかる。「一生懸命育てても、出荷できなきゃどうにもならない」
国内の肉牛農家は、約10か月までの子牛を扱う「繁殖農家」と、市場から買い取った子牛を約30か月まで育てる「肥育農家」に大別されるが、宮崎県を含む南九州は繁殖農家が主流だ。JA宮崎中央会によると、同県の肉用子牛の出荷頭数は一昨年度7万8391頭。約4割の2万9358頭が県外に出荷され、高級ブランドの松阪牛(三重県)、佐賀牛(佐賀県)、信州和牛(長野県)などとして育てられる。
ところが、口蹄疫騒動を受け、同県内の七つの家畜市場は6月いっぱいの閉鎖を決定。国内最大の子牛取引頭数を誇る隣県・鹿児島県曽於市の曽於中央家畜市場も、今月中は市場を開かないことを決めている。
閉鎖直前の3月下旬、曽於市場で4日間の競りに出された子牛は1754頭。3年前まで50万円前後だった平均取引価格は、38万円台に落ちていた。その苦境下に発生した口蹄疫騒動。曽於市場を運営するJAそお鹿児島の外園孝男課長は「生後10か月目に入ると、子牛としての価値は下がり、肥育農家から敬遠される。競りが再開できても、価格が下がらないか心配だ」と肩を落とす。JA宮崎中央会によれば、競りの中止による県内農家の損失額は15日現在、16億円とみられる。
影響は「買い手」側にも広がっている。
高級牛肉の代名詞ともなっている「松阪牛」。三重県松阪市など近隣9市町の肥育農家がビールを飲ませたり、皮下脂肪を均一にするためのマッサージをしたりして2~3年かけて育てた牛を指すが、子牛の4割超は宮崎県から買い付けている。
地元農協によると、口蹄疫問題が発覚して以降、早くも宮崎の子牛をあきらめ、東北や北海道の市場に足を運ぶ肥育農家も現れ始めた。だが、同市農林水産課の担当者は「霜降りが入りやすく、短期間で育つのが宮崎県産子牛の特徴。子牛の産地が代われば、松阪牛の肉質が変わってしまうのではないか」と不安を漏らす。
常陸牛を生産している茨城県畜産農業協同組合連合会でも、子牛の2~3割が宮崎県産。茨城県日立市の肥育農家、加藤秀治さん(38)は毎年500頭の子牛を買い付けており、そのうちの2割強が宮崎県産だ。「良い子牛を求めて、九州以外の地域に肥育農家が殺到することになれば、子牛の価格高騰など影響は避けられないだろう」と心配そうに話した。
「感染肉出回らない」
消費者庁 風評被害を懸念する声も出始めた。消費者庁は17日、「感染牛の肉ではない」と売り文句にうたうなど、消費者に誤解を与えるような表示をしないよう食品業界や流通業界などに要請した。
同庁によると、問題発生後、インターネット市場などで、「宮崎県産の牛肉は使用していません」などと表示して牛肉などを販売している例が数件確認されているという。同庁では「口蹄疫は人に感染しない。また、感染した肉は市場には出回らないし、仮に食べたとしても人体に影響はないので、風評に惑わされないで」としている。
◆50年かけ交配、宮崎の種牛高評価
霜降りが入るなど品質の高い子牛を得るために、繁殖用の雌牛に精液を提供する雄牛を種牛と呼ぶ。農林水産省は家畜改良増殖法に基づき、肉用牛では1829頭(2009年度末現在)を種牛として認定している。
種牛候補の雄牛は、精子を多くの雌牛に提供し、生まれた子牛10頭以上を肉にした上で、霜降りの程度、バラ肉の大きさなどの平均値を測る。こうして優秀な成績を残した雄牛を種牛とし、同様に良い数値を出した繁殖用の雌牛に掛け合わせて、さらに改良を重ねていく。
宮崎県の種牛は、全国的にも評価が高く、その子牛たちは全国の肥育農家に出荷され、「松阪牛」などのブランド牛として育てられる。
現時点で殺処分を免れているエース級は「忠富士(ただふじ)」(7歳)、「美穂国(みほのくに)」(6歳)、「福之国(ふくのくに)」(13歳)など6頭で、これまでに計約38万頭の子牛の“タネ”を提供してきた。
同県畜産課の担当職員は「50年以上かけてこつこつと交配してきた。値段をつけられないくらい貴重な存在」と話している。
(2010年5月18日 読売新聞)
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