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2010年5月11日 (火)

子どもの細菌性髄膜炎 ワクチンで備え

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リンク: 子どもの細菌性髄膜炎 ワクチンで備え :日本経済新聞.

 子どもの細菌性髄膜炎を予防できる2種類のワクチンが出そろった。細菌性髄膜炎は重症になると死亡したり重い後遺症が出たりするが、病気もワクチンも認知度は低い。原因となる細菌の中には抗生物質が効きにくいタイプも増えている。医師は「まずワクチンで予防してほしい」と呼びかける。

 「ワクチンを打てば予防できます」――。「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」の高畑紀一事務局長は4月25日、JR京葉線南船橋駅前で仲間とともに予防接種を訴えるビラを配っていた。

 6年前、当時3歳だった長男が突然高熱を出し意識を失った。検査の結果、細菌性髄膜炎と診断されたが聞いたこともない病名だった。担当医から「死亡か、重い後遺症が出るか、回復するか、どれも3分の1の確率」と言われ、「目の前が真っ暗になった」という。幸い、長男は無事回復した。後に当時はまだ日本は予防ワクチンが承認されていないことを知った。「今はワクチンがある。かかったときに後悔しても遅い」と接種を勧める。

 細菌性髄膜炎は脳や脊髄(せきずい)を覆う髄膜やその中を満たす髄液に、血液などを介して細菌が入り込み増殖して発病する。小児の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の神谷斉名誉院長は「中枢神経の周りで細菌が増えるので怖い病気」と話す。患者はほとんどが5歳までの乳幼児で、国内では年間約1000人と推定されているが、2~3割は運動機能障害や聴覚障害などの重い後遺症が出る。約5%は治療のかいもなく死亡してしまう。

 原因となる細菌は主にインフルエンザ菌b型(略称ヒブ)と肺炎球菌。細菌性髄膜炎のほか、中耳炎や肺炎、血液に菌が入る菌血症なども引き起こす。のどや鼻の奥にいるありふれた菌だが、免疫力がない乳児では細菌が体内に侵入して増殖すると重症化しやすい。

「8割予防可能」

 予防用のワクチンとしてヒブワクチンが2008年12月、今年2月には小児用肺炎球菌ワクチンが使えるようになった。「2つを接種すれば細菌性髄膜炎の約8割を予防できる」(神谷名誉院長)という。両ワクチンとも、生後2~6カ月で接種を始め、合計4回打つのが基本。接種開始時の月齢によって打つ回数は減ることもある。

 発売して間もないため副作用を心配する親の声もあるが、欧米ではかなり前から定期的に接種している。日本は世界的にも導入が最も遅れている国のひとつで、米国に比べてヒブワクチンでは20年、小児用肺炎球菌ワクチンは9年遅れてようやく承認された。接種したときに皮膚が赤く腫れることもたまにあるが、ほとんどは大きな問題にならない。日赤医療センター小児科の薗部友良顧問は「実績が豊富なワクチン。細菌性髄膜炎の予防効果の方がはるかに大きい」と説明する。

 ワクチン接種は小児医療で間接的な効果も期待できる。

 まず、診察時に処方する抗生物質の量を減らせることだ。細菌性髄膜炎は初期では高熱以外の症状がほとんどなくほかの病気と区別がつかない。血液検査で確定診断するのは難しく、医師は念のためにと抗生物質を処方する傾向がある。東京都医師会感染症対策委員長の和田紀之・和田小児科医院(東京・足立)院長は、高熱に見舞われた場合でも「ワクチンを接種していれば余裕を持って診療できる」と話す。

 抗生物質を投与しなければ効きにくい耐性菌を生み出すリスクも減る。東京小児科医会などの調査では耐性菌を持つ子どもの割合は、1歳半で約30%、同じ年の保育園児では80%に達していた。耐性菌が増えると、万が一のとき治療薬が限られ、治療がより難しくなってくる。

 子どもへのワクチン接種で高齢者の肺炎も減らせる。米国では小児に肺炎球菌ワクチンを導入した2000年以降、65歳以上の肺炎球菌による肺炎が約65%減った。「孫などとの接触で感染していた高齢者を減らせたからだ」(薗部名誉顧問)という。

助成まだ少なく

 ただ、ワクチンの普及はそう簡単ではない。国や自治体が費用を負担する定期接種と違い、ヒブワクチンも小児用肺炎球菌ワクチンも任意接種のため自分で払わなければならない。ヒブは1回7000~9000円程度、肺炎球菌は1万円程度かかる。4回ずつ接種すると8万円近くになる。費用を助成する自治体もあるがまだ一部だ。

 接種のしにくさも今後の普及への課題だ。小児は三種混合ワクチンなど数種類の定期接種も受けなくてはならないため、ヒブや肺炎球菌ワクチンを合わせると接種回数がさらに増え、医療機関に通うだけでも大きな負担だ。

 「『VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろう。』の会」を立ち上げた薗部顧問は「欧米では複数の予防接種を同時に打つことで子どもや親の負担を減らし接種率を上げている。日本でもこうした工夫が不可欠」と話す。

(西村絵)

[日本経済新聞夕刊5月7日付]

関連過去記事

ヒブワクチン定期接種を 10/01/18
http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/--b617.html

ワクチン“格差”ヒブは20年 10/04/26
http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/13---msn-7660.html

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