何を学ぶか 新型インフル1年(中) 麻痺した発熱外来、住民の不安をさばききれず
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リンク: 【何を学ぶか 新型インフル1年(中)】麻痺した発熱外来、住民の不安をさばききれず (1/3ページ) - MSN産経ニュース. 2010.5.4 07:00
昨年5月16日、神戸市の医療体制は混乱の極致にあった。海外渡航歴のない市内の高校生の感染が公表されたからだ。日本国内での初の感染確認だった。
「とうとう来たか」。神戸市の発熱相談センターの電話回線は、不安を訴える声でパンクした。感染者専用の治療拠点として市内9カ所に設置した発熱外来にも住民が押し寄せた。
「感染公表前の5月15日に42件だったセンターへの電話が、17日に1875件、19日には2678件。電話がつながらないことに業を煮やした住民が発熱外来に殺到した」。神戸市保健所の篠原秀明予防衛生課長はそう振り返る。
神戸市は5月20日から一般診療所でも診察できるように方針転換を迫られた。国もようやく6月19日、診療所での診察を解禁した。
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国が強毒性の新型インフルを想定して平成17年に策定した行動計画では、自治体に発熱外来を設置。患者とそうでない患者を振り分け、感染の拡大防止を図ることを求めていた。
しかし、瞬く間に患者が増えた今回は、発熱外来がまったく機能しなかった。
こうした中、独自の対策で、医療機関の混乱回避に成功したのが仙台市だ。当初から一般の診療所で診察を行ったのだ。
医師の資格を持ち、厚労省仙台検疫所長も務めた、岩崎恵美子仙台副市長(当時)は「発熱外来に患者が殺到することは目に見えていた。かかりつけの医療機関で診てもらい、自宅待機してもらった方が感染拡大防止になる」と断言する。
仙台市医師会の永井幸夫会長は「市は医療従事者に対し、タミフル(抗ウイルス薬)やマスクなど十分な武器を与えてくれた。だからこそ一般診療機関での診察ができた」と、日ごろの行政との協力関係を奏功の理由に挙げる。
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医療機関のドタバタは、全国的に流行が本格化していた昨年9月にも露呈した。感染すると重症化しやすい小児、妊婦、透析患者について、都道府県の半数以上が受け入れ可能な医療機関の把握を行っていないことが厚労省の調査で明らかになったのだ。
これは、最も手厚いケアが図られなければいけない人たちの受け入れ体制が、整備されていなかったことを意味する。
一足早く流行入りした沖縄では8月中旬、県内で唯一、小児集中治療室(6床)のある県立南部医療センター・こども医療センターがパンク寸前になった。
慌てた沖縄県医師会は、診療所などに休日や夜間診療を依頼して患者を分散。医療機関が人工呼吸器の稼働状況などの情報を共有できるネットワークを構築して、危機を乗り切った。
沖縄の教訓から神奈川県では、重症者の受け入れ可能な県内約50医療機関で空床情報の共有が始まった。神奈川県立足柄上(あしがらかみ)病院の高橋協(かなえ)副院長は「これまでなかった病院同士の連携が進んだ」とその成果を語る。
教訓から学んだ医療機関同士や自治体との協力の大切さ。今後予想される新型インフルの第2波や、強毒性の新型インフル発生の際に、今回の反省を生かした医療体制の整備がカギとなることは言うまでもない。
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■若者が感染 高齢者に感染者が多い季節性インフルと異なり、今回の新型インフルでは若者の感染者が多かった。急性脳症の発症年齢や、ウイルス性肺炎の多発などの点でも、季節性とは異なる傾向があった。
厚労省によると、新型インフルの推定患者数は約2068万人(3月21日現在)。年代別の推計では10代が756万人ともっとも多く、10歳未満の749万人が続いた。年代が上がるに伴い患者数は減少し、60代では17万人、70代以下では15万人だった。
原因として、一定年齢以上の人は何らかの免疫を持っている可能性が指摘されている。
子供がインフルに感染した場合、もっとも注意が必要な症状の一つが急性脳症。季節性では6歳未満に多いが、新型では10代など高い年齢の子供にも目立った。また、ウイルスが直接肺に入って増えるウイルス性肺炎の報告も小児の重症例で多く見られた。
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