水毒(水滞症)を防ぐ養生
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飲み物・果物・生野菜の類はできるだけ減らすこと
(野菜は熱をかけ、水分を除いた形で食べること)
漢方では病気の原因を気(精神神経)、血(血液・血流・炎症)、水(水分代謝障害・水毒)に分析し、それらに対応するくすりを施薬することを基本にしています。
このテーマは、この内の水毒(水滞症)を防ぐ養生についてです。
水分の過剰摂取、排泄不足の状況があると、消化管、気管、皮下、四肢等に水の停滞が起こり、腹中雷鳴、胃下垂、下痢、せき、喘息、肺炎、発熱、むくみ・神経痛、リウマチ、多汗症・皮膚病、排尿異常など様々な症状が現れてきます。
西洋医学発祥のヨ-ロッパは大陸で、その乾燥した気候風土では、体表からの水の発散が無理なくスム-スにおこなわれ、水滞という症状は起り難い環境にあります。
また、食事からの水分摂取の少なさもあって、西洋医学では、溢水に対する対応はあまり考える必要がなく、脱水に対する注意の方が重要視されています。
中国も大陸なので同様です。私は5月の北京で、小便の出が極端に少なくなって驚いた経験があります。
尿で水を排泄しなくても、皮膚からどんどん出て行くからです。
こういう土地ではこまめに水分補給を心がける必要があります。
一方日本は湿気の多い島国で、もともと非常に水滞が起こり易い気候風土です。
食事は水分の多い米、野菜が中心の上、最近は欧米志向の清涼飲料水、果物、生野菜の摂取が過剰なので、水滞を抱える人がとても多くなっています。
現代医学で「腎性高血圧」「降圧利尿薬」という語があるように、泌尿器と血圧は密接な関係があります。
血圧が気になる人は過剰の水分摂取を制限して泌尿器の負担を軽くすることが漢方では養生の基本です。
風邪も漢方的にみれば水毒症で、すべて水が溢れた症状を伴うといえます。
体内にたまった水を無理に体表から出そうとすれば発熱することになります。
水が上からあふれ出て鼻水・痰・せき・涙目になり、耳にまで分泌が起こると中耳炎にまで進みます。
吐き下しの風邪は消化管にたまった水を上下両方から排出しているのですし、筋肉、関節やリンパ管に滞ってくると節々が痛み、扁桃腺がはれて痛むことになります。
そのため、風邪を治す漢方処方は水分代謝を改善するくすりの組み合わせが中心になっています。
水滞の排除を担当するのは、腎・肺・大腸と皮膚の四つの器官です。
この四つを正常に機能させるためには、「五味調和」に基づいた食生活を心がけることが必要です。
適量の鹹味・酸味・辛味・苦味の食物が必要です。
何故なら、腎を補うのは鹹味、助けるのは酸味と辛味、益するのは苦味だからです。
日本人は腎の負担を軽くする塩と香辛料の使用が肉食民族より少ないです。
梅干・味噌・漬物・佃煮などの保存食は減塩していないものにし、ニガリ成分の入った「海の精」などの天然塩の使用が必要です。
体を温め血行をよくするものを口にすることが予防であり、水物を控えめにすることが養生です。
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