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2009年2月10日 (火)

五味調和(3)

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

陰陽五行と調理の原則。

中国の医薬・食物・物理療法の文化は、欧米の民族が持っていない宇宙観と東洋哲学・自然医学を基礎に展開されています。

その基本原理が「陰陽虚実」と「陰陽五行論」と呼ばれる哲学で、中国医学の原典「黄帝内経素問」に説かれています。

それによると、森羅万象を陰と陽に規定しています。

陰とは寒・水・下・右・腹・地・内で、陽とは熱・火・上・左・背・天・外になります。

この原則が人間という小宇宙に適応されると、陰陽とは、病態の位置と質を示すものになります。

そして陰陽の量的表現が虚実ということです。

虚とは、陰(水滞や冷え)が多く、熱や陽(血)が少ないもの、実とは、熱や血症が多く、陰の冷えや水滞が少ないものを言います。

陰や陽という抽象的なことばの量的な偏りを示したものと言えます。

陰陽寒熱・上下・左右に歪みが生じたとき人は病気になりますが、これを是正する為に病像・病症と反対の薬性・食性のある漢方薬・食物で中和して正常化をはかるというのが漢方の基本的やり方なのです。

そのために、五行論に基づいてすべての薬物と食物について、酸・苦・甘・辛・鹹の五味と寒・熱・温・涼・平の五性が設定されています。

これは欧米では未開発の漢方独特の方法論です。

五味調和の食性表は、陰陽五行の座標の上に、日本の食材と中国料理の食材の一部を配当したものです。

これが薬剤の調剤と、食物の調理の原理の集約といえます。

何を食べるかという事と同時に、それを如何にして食するか、如何にして服むかを指示している、先人の貴重な遺産です。

食養の第一原則は、寒熱(陰陽)によって食べ方が違うことです。

陽(熱)・血症のあるとき、つまり便秘や発熱・出血・炎症のある時は、寒涼剤である苦味・酸味のものを食べねばならないし、陰(寒)つまり冷えや貧血・下痢などのときは、温剤の辛味・鹹味のものを食して冷えの原因の水滞を体外に排泄する利尿剤を服さねばならないということです。

一般論として、食性表に示すとおり、各器官が弱ったとき、それが胃であれば甘味のものを、腸や呼吸器なら辛味ものを、腎臓や膀胱には鹹味(塩からい)のものを、肝臓・胆のう・筋肉・目には酸味のものを、心臓・血脈・小腸・舌に炎症があれば苦味のものを食するのが原則です。

但しこれらの食物も、大なり小なり相剋に当たる(点線の矢印が指す)臓腑器官に、食害を与える事も知っておかねばなりません。

それはまた病気の転移の原理でもあります。それ故、甘味を食するときは、同時に塩味のものを添えて腎を補い、辛味を食するときは、肝胆を補う酸味を添え、苦味を食するときは、肺・大腸・皮毛を補う辛味を添える………という「二味配合」の原理があるのです。
これは味覚の面でも、それぞれの味が調和してマイルドになり、よりおいしく感じられます。

Gomi2

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