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2008年7月 5日 (土)

食道楽が説く玉子の善悪(2)

ふじみ野市 マサキ薬局の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

食道楽の玉子つながりで続けます。

食育のススメ(黒岩比佐子)」という本が食道楽を解説しています。、

鶏卵は早くから食べられていましたが、値段が高く、お歳暮の贈答品などにも使われていました。
当時の主婦にとって、鶏卵を買うときに「いかに新鮮なものを見分けるか」ということと、買ってから「いかに長期保存するか」は大問題でした。
卵の外観を見ただけでは、生みたてで新鮮なのか、腐りかけているのかがわかりません。
もちろん、一般家庭にはまだ冷蔵庫などはありません。日本に冷蔵庫が登場したのは、1903年(明治36年)の第五回内国勧業博覧会に出品されたのが最初だといわれています。
いまとは違って、当時は公的機関による食品の検査や、規格の設定などが整備されていませんでした。
そのため、不良品を売りつける悪徳商人もいれば、食品の安全や衛生に関する意識もお粗末なもので消費者は自分で食品の良否を判定して買うしかなかったのです。

毎日のように口にする食物が安全であるかどうかを、自分の責任で見分けなければならないのですから、頭の痛い事だったでしょう。
実際に、牛乳や酒に水を混ぜて売るという事件が起こっていたそうですし、水ならまだしも、有害物が混入したり、腐敗した物が堂々と売られていることもありました。
そういう状況だったため、弦斎は『食道楽』で食品の鑑定についてかなりのページを割いて説明しています。
その部分を今読むと、やや奇異な感じがするかもしれませんが、明治の女性たちにとっては切実な問題だったわけです。

黒岩比佐子さんは、ノンフィクションライター。2004年に「『食道楽』の人 村井弦斎」(岩波書店)でサントリー文芸賞を受賞しています。
古書の森日記 by Hisako という、とても面白いブログを公開しています。
明治など近代文学について時代背景含めいろいろ教われます。

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