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2008年7月の31件の投稿

2008年7月31日 (木)

このサイトご存知でしたか?

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

このところ、食に関する事件や困った問題が連続して起こっています。

大事な食事のことなので、何を、誰を信用して選び、買い、つくり、また注文したら良いのか、考えると不安になってしまう困った時世です。

kiyohikoは、薬局が生業ですので、いわゆる(公文書ではいつも「いわゆる」が頭につきます)健康食品も扱っています。

健康食品・サプリメント類の日本での市場規模は2兆円で世界第2位と聞いています。

健康食品も色々問題を起こして報道されています。

新しい製品が続々と登場してきます。

百花繚乱なんですが玉石混淆なんです。

販売者側の私たちは何が本物か、どれが偽者か見分ける目を研ぎ澄まさなければなりません。

正しい情報を得る努力が、実は大変なんです。

そんな時とても役に立つサイトがあって助かっています。

独立行政法人国立健康・栄養研究所が公開している、「健康食品」の安全性・有効性情報、というサイト http://hfnet.nih.go.jp/ です。

一般の方は、一般公開ページをご利用ください。
食品、栄養などの専門職の方は、会員サイトに登録し、情報提供にご協力ください。

とあります。

最新ニュース、基礎知識、話題の食品・成分、被害関連情報、素材情報データベースと内容が充実しています。

現在学会で認められている説がどういうものかが判るので大変参考になります。

ご存知でしたか。

私は去年まで知りませんでした。

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2008年7月30日 (水)

八ヶ岳薬用植物園へ行ってきました(4)

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

山梨県森林総合研究所・八ヶ岳薬用植物園(山梨県小淵沢)見学の続きです。

この植物園は薬用植物の他に、山の幸がいっぱいです。

山菜やきのこ、果実類が栽培されています。収穫のシーズンに行ってみると楽しみが増えそうです。

園内散策のモデルコースが三つ設定されています。

実木・山菜コースには、ブルーベリー、アーモンド、サンザシ、ヤマブドウ、ラズベリー、カリン、ボケ、アンズ、クルミ、サンショウ、アマチャ、リンゴ、ナツメなどなど50種類の実木があります。

これからの季節は秋の味覚を目でもタップリ楽しめそうです。

Yatu_008amacha_2アマチャです。

花まつりの甘茶です。

散りそうな花が少しついていました。

ユキノシタ科でアジサイの一種です。

9月ころ葉を採り、霧吹きして乾かないうちに手でもみ一夜寝かせてから乾燥します。強い甘味が出るので、甘味・矯味薬として利用されます。

Yatu_018fujibakama_2 フジバカマです。

キク科で秋の七草の一つです。

生薬名:蘭草(らんそう)

これは黄色い花ですが、もう少し赤い花だったと思っていました。

薬味・薬性:辛平  全草を乾燥して用いる

糖尿病による浮腫、リウマチ、神経痛にも応用されます。

Yatu_022nemunoki ネムノキです。

生薬名:合歓皮(ごうかんひ)

樹皮を乾燥して使います。

薬味薬性:甘平

強壮、興奮、鎮静、鎮痛、駆虫、作用があり、

心煩、不眠、打ち身、骨打などに応用します。

赤っぽい花とオシベが束になって突き出しています。

漢方薬の本をプレゼントをしています。

詳しくはこちらで、http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_0686.html

明日が締め切りです。

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2008年7月29日 (火)

八ヶ岳薬用植物園へ行ってきました(3)

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

山梨県森林総合研究所・八ヶ岳薬用植物園(山梨県小淵沢)見学の続きです。

この植物園へのアクセスは、kiyohikoは車でなくJRを利用しました。
ふじみ野市から1時間弱で立川駅へ出ます。
そこであずさ号に乗り、1時間半ほどで小淵沢駅に着きます。
そこから車で10分かからずに目的地植物園に着きました。

小淵沢駅からは小海線が出ていて、その沿線は、清里や野辺山といった、八ヶ岳山麓のきれいなペンションが立ち並ぶ人気リゾートです。

小淵沢は最近はやりの市町村合併で、北杜市(ホクトシ)小淵沢町に名前が変わっていました。

植物園のホームページのトップページに管理棟・山の幸展示館の画像が出ています。
事務所があり、植物園案内板、漢方薬の標本、植物関係の参考書籍、パソコンも数台おいてあって500種以上収録した薬用植物の画像と解説が見られ、とても参考になりました。

食堂もあり、持参の弁当をそこや二階の展望室で使わせてもらう事ができました。

それなのに入場料が無料という親切さです。

今回は、ここの設立に尽力された佐竹元吉先生のお取り計らいで、皇太子殿下を案内されたという斉藤先生にガイドしてもらえるという幸運に恵まれました。

画像を三つ紹介します。

Yatu_013 朝鮮人参が実をつけていました。

ウコギ科の多年草です。

ごぞんじ、高貴薬。解説の必要もないくらいでしょう。

甘微寒の水剤と規定されます。

薬用部は根ですが、実にも薬効があり、製剤が出ています。

平成16年の播種とあったので、4年経っています。普通ならあと一二年で掘り上げられます。

Yatu_010

有名なトウキ(当帰)です。

セリ科の多年草。

甘温の血剤。温性の血剤の代表で婦人用の名薬です。

当帰配合の当帰芍薬散という有名処方があります。

Yatu_020_2 オミナエシの黄色い花も咲いていました。

生薬名を敗醤(ハイショウ)といいます。

薬用部は根で苦平の血剤です。

腫れ、浮腫、結熱、風痺を除き、苦味性の利尿作用もあります。

敗醤とは味噌が腐敗したという意味で、ネズミのおしっこが腐ったような独特の異臭の形容です。オミナエシの根を干すと強い臭いが出ます。この臭いに鎮静作用があり、不眠にも有効です。

つづく

漢方薬の本をプレゼントをしています。

詳しくはこちらで、http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_0686.html

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2008年7月28日 (月)

八ヶ岳薬用植物園へ行ってきました(2)

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

山梨県森林総合研究所・八ヶ岳薬用植物園(山梨県小淵沢)見学の続きです。

グーグルの検索では出てきませんでしたが、森林総合研究所のホームページから手繰っていくと植物園のホームページが見つかりました。
http://www.geocities.jp/yatsugatake_garden/

この施設の前身は、カラマツ、アカマツの苗畑、特用樹展示林や林産物の試験研究に使われていた場所でした。特用林産物の振興、普及啓発の目的で、八ヶ岳薬用植物園として整備し、平成9年に開園されました。所属は山梨県です。

標高      海抜 900~950㍍

面積      約9.5 ha(東京ドーム 約2個分) 広い!

栽培植物   きのこ、山菜、薬草、その他有用植物

植物種類   約300種類

展示ゾーン  ハーブ・薬用樹木展示園(主に薬効のある樹木)・特用樹木展示園(特別な用途に使われる樹木)・薬用花卉類展示園( 主に薬効のある草本)・食用実木展示園(実を食べる植物)・山菜園(山菜として食べられる植物)・きのこの森(主な食用きのこの)・しずくの森(樹液がとれる樹木)・どんぐりの森(いわゆるどんぐりがなる樹木)

山の幸教室、薬草観察会が定期的に開かれています。昨日は、ここでとれたブルーベリーを使ったジャムづくりをやっていました。
薬草観察会は、8月9日(土)、16日(土)、30日(土)に行われるようです。

昨日は、花がたくさん咲いていて、蝶も舞っていました。

Yatu_012 コガネバナ(オウゴン)が咲いていました。

黄芩は、漢方の血剤の主薬です。

根が薬用部で、

薬味薬性は苦寒。

消炎・解熱・利尿作用があり、配合処方には、有名な、大柴胡湯・小柴胡湯のほか、三黄寫心湯・黄連解毒湯などの処方があります。詳しくはこちらを、http://nckansai.blog69.fc2.com/blog-entry-83.html ご覧下さい。

Yatu_021 キキョウ(桔梗)です。

辛温の水剤と規定されます。

根にサポニン等有効成分があり、

鎮欬去痰作用・排膿作用により、

化膿症、扁桃腺炎、咽喉痛に用いられます。

桔梗湯、桔梗白散、排膿散、防風通聖散などの有名処方に配合されます。

つづく

漢方薬の本をプレゼントをしています。

詳しくはこちらで、http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_0686.html

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2008年7月27日 (日)

八ヶ岳薬用植物園へ行ってきました

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

山梨県小淵沢にある、山梨県森林総合研究所・八ヶ岳薬用植物園を見学してきました。

Yatu_002 八ヶ岳植物園入り口です。

Yatu_003 ハーブ園とご一緒した方が写っています。

帰りは大雨で、あずさ24号が2時間遅れて散々でした。

つづく

漢方薬の本をプレゼントをしています。

詳しくはこちらで、http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_0686.html

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2008年7月26日 (土)

卯の花(おから)を食べよう(3)

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

おからの続きです。

おからの栄養素を調べてみます。手許にある食品標準成分表に拠ります。

可食部(100%)100㌘当たり

エネルギー    89kcal.

水分        81.1g

たんぱく質     4.8g

脂質         3.6g

糖質         6.4g

繊維         3.3g

灰分         0.8g

カルシウム    100㎎

リン         65㎎

鉄          1.2㎎

ナトリウム      4㎎

カリウム      230㎎

レチノール      0

カロチン               0

A効力        0

Vi.B1       0.11㎎

Vi.B2       0.04㎎

ナイアシン      0.3㎎

Vi.C         0 

ひと目でわかる日常食品成分表(講談社)によると

マグネシウム    37㎎

亜鉛        590μg

銅          170μg

ビタミンE効力   0.4㎎

脂肪酸飽和       0.48g

脂肪酸不飽和一価  0.71g

脂肪酸不飽和多価  2.03g

コレステロール      0

食物繊維水溶性    0.3g

食物繊維不溶性    9.5g

食物繊維総量      9.8g

その他、レシチン、サポニン、ポリフェノールも微量でしょうがあるようです。

おからはすごいというサイトにありました。http://www.okara.jp/sugoi/sugoi1.html

確かにこれだけの栄養成分があってしかも低カロリーなので、ハンバーグなどに加えるなどの工夫もして使うと、ボリューム感はあって、カロリーコントロールが楽で、メタボ対策に有効な感がしますね。

漢方薬の本をプレゼントをしています。

詳しくはこちらで、http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_0686.html

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2008年7月25日 (金)

卯の花(おから)を食べよう(2)

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

昨日の話題おからの続きです。

料理研究家で郷土料理(みちのく料理)の店を開いていた方で、テレビにもよく出演していた、阿部なをさんという方がおられました。この方の料理の著作「酒の肴の四季」という本でサイン入り落款つきが手もとにあります。

卯の花煮
卯の花(おから)はこうして煮ると決めこむよりも、今日はどんなふうな具を入れようかと、そのときどき、あり合せの材料を楽しく使って作りたいものです。

ただできることなら、豆腐屋と仲良くして、絹ごし豆腐を作るときのきめ細かいおからを手に入れることだと思いますが、むしろあらいのが本物とおっしゃる方もあり、好き好きだとは思います。

煮汁もすき焼きの残り汁とかおでんの煮汁、あら煮のときの汁を使ってもいいでしょう。
あとでおからを煮ると思えば、汁をたくさんに作っても、もったいなさより楽しくなるのです。
そのときは汁を一度こして使います。

具としては、人参、ひじき、鶏の皮、魚のあらを湯びきしてほぐした身など、最も好ましい相手になります。

また、おからは非常に変化しやすいもので、手にはいってから時間をおくとすっぱくなります。すぐ料理にかかれないときは、おからだけを油で充分いためておき、あとは時間の余裕のあるときにゆっくり味付けをすると、おからを煮るのもおっくうでなくなります。

材料
卯の花ーー2カップ  木くらげ(またはひじき)ーー20㌘
人参(小)ーー1本  ねぎーー1本  鶏皮ーー30㌘
サラダ油ーー大さじ4  だし汁ーー2カップ

作り方
①きくらげは水でもどしてかたいところは取り除き、小さめに切ります。
 人参は3㍉角ぐらいの拍子木切り、ねぎは薄く小口きりにします。
 鶏皮は細かく切り、塩を振って熱湯をさっとかけておきます。

②鍋にサラダ油大さじ1を熱し、鶏皮、人参、木くらげを入れ、塩を少々と酒小さじ2kぐらいをふって、充分いためます。

③別の厚手の鍋にサラダ油大さじ3を熱し、弱火で卯の花をゆっくりいためます。
できれば30分以上いためてください。
時間をかけてよくいためると豆腐臭さがぬけ、おいしくでき上がります。

④充分いためたらだし汁を入れ、砂糖大さじ1/2、しょうゆ大さじ1、塩少々、酒大さじ2を加えて、じっくりと煮ます。
充分に味がしみ、汁気が少なくなったころに、いためておいた鶏皮、人参、木くらげを加え、ときどきかき混ぜながらいため煮します。
でき上がりぎわに、ねぎを入れて仕上げます。
汁気をきらってよくいためる人もあり、好き好きですが、少ししっとりした仕上がりのほうが、食べやすいようです。
調味料の分量も、その時の材料に応じてかげんすること、塩辛くしないように、味を見ながらおけいこしてください。

とあります。

実は、漢方の師渡辺武先生は阿部なをさんと懇意で、上野にある津軽の郷土料理のお店「北畔」へ弟子たちも時々ご一緒させてもらっていました。
同郷の人間国宝、棟方志功さんの作品が無造作においてあった記憶があります。

棟方志功さんといえば、病で倒れられた後、渡辺先生の漢方薬を服んで、回復して仕事に復帰されました。感謝した志功さんは、漢方薬の神様神農を刻んだ版画を制作しておられます。
多分志功さんとのつながりで阿部なをさんと知り合われたのだろうと思います。

そんなことで、なをさんの本が手もとにあるのです。
「北畔}の料理は郷土の香りが一杯で、おからもおいしかった記憶があります。

阿部なをさんは渡辺先生と同年くらいの美しい方でした。

ちなみに、「酒の肴の四季」をAmazonで検索してみた所、価格が8倍になっていました。

漢方薬の本をプレゼントをしています。

詳しくはこちらで、http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_0686.html

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2008年7月24日 (木)

卯の花(おから)を食べよう

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

今日の話題はおからです。

TBSテレビで夢の扉という番組があります。7月20日夕方は「原価高騰究極のエコカー」と題して、おからを原料にして、バイオ燃料エタノールが5日でできるというおもしろい内容でした。

長島磯五郎というバイオエタノールの研究者のドキュメンタリという形の構成でした。

おからは豆乳を取った残りの云わばカスですが、年間80万トン生産されていて、食用に利用されるのは、驚くことにわずか1割で、残りの9割は廃棄、中には不法投棄の問題もあるといいます。

長島さんは廃棄物のおからからエタノールを生み出す事の開発に成功しました。
工程は、先ずカセイソーダ水溶液を加えて90度に加熱する事で繊維の分解させます。
そしておからはアミノ酸と糖に分解されます。
次にパン酵母(イースト菌)を加えます。
イースト菌はアミノ酸を食べて増殖します。
そうして増殖した沢山のイースト菌が糖を食べて、エタノールをつくってくれると言う訳です。
その間にかかる時間は、わずか5日ということでした。

収量をあげるためにやはり廃棄物のジャガイモの皮をも利用して成功を収めているといいます。

廃棄物を利用して燃料が生産されるのはエコロジーの観点からすばらしいことです。
さらにこういう発想が発展していけばトウモロコシなど本来の食糧用に戻って使える量が増えるわけで一石二鳥というわけです。

しかし、おからの利用率が1割なんて、あんなにおいしく料理できる食材が・・・
おから君に気の毒で申し訳ありません。

上にあるように、食物繊維たっぷり、糖質とアミノ酸、豆腐になった残りの栄養素といっても馬鹿にできない栄養たっぷり、なにせ基は大豆ですから。しかもヘルシー。メタボ対策にも最適。

我が家の卯の花煮(おから煮)は妻の母、我が家のひいばあちゃん85歳が、よく作ってくれるんです。
これがとても旨いんです。

作り方を聞いてみると、何も特別な事はないといいます。
ただ、魚を煮たときの煮汁を必ず使っているのです。おからを作るときに使うように少し多めに煮汁を拵えるようです。
多分これが旨さの秘訣のようです。

そしてもう一つ、うちの近くの豆腐屋さんのおからの出来がよいんです。

しかも安い安い! ソフトボール大の量(約300㌘)で40円。

食料値上げ値上げの時節、おからを食べない手はありませんよ。

次回は卯の花煮の作り方を調べてみましょう。名人の本を調べてみます。

漢方薬の本をプレゼントをしています。

詳しくはこちらで、http://blogmasaki-ph.cocolog-nifty.com/blog/2008/07/post_0686.html

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2008年7月23日 (水)

プレゼント

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

「漢方なブログ」を始めてから2ヶ月目に入ってしばらく経ちました。

漢方に興味をお持ちの方が少しずつ見に来てくださるようになりました。

kiyohikoの漢方の師、渡辺武薬学博士が一般の方向けに書いた本を、漢方に興味がおありの方にプレゼントし、渡辺武先生の漢方をよく知って頂きたいと思います。数は、3冊とわずかですが、1名1冊とさせていただきます。応募が多ければ、抽選とします。

本は、わかりやすい漢方薬(渡辺武) 国際商業出版㈱発行 です。

kiyohikoは漢方を習い始めたころ、この本を何度も繰り返し読みました。30年経った今読み返しても、また新しい発見をする本です。

締め切りは、7月31日(木)24時とします。

お申込はこちらから、info@masaki-ph.com

または、マサキ薬局ホームページのこちらから、
http://masaki-ph.com/contact.html

でも結構です。

件名を、「漢方薬の本プレゼントに応募」とお書き下さい。

また、ハンドルネームをお書き下さい。

何かコメントをいただけるとうれしいです。

差し上げる方のハンドルネームを8月2日(土)のブログで発表します。

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2008年7月22日 (火)

食のリスクの一口メモ(4)

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

食のリスクのミニデータです。

世界の食品にける事件・事故

平成20年 1月  中国産餃子による中毒事件

平成19年 6月  中国産ペットフードからメラミン検出(米国)

平成19年 6月  米国産健康食品原料への放射線照射問題

平成18年 5月  ポッジティブリスト制施行

平成18年 3月  清涼飲料水中のベンゼン問題(英国)

平成17年12月  未承認遺伝子組換えナタネの検出(カナダ)

平成17年 4月  中国産ビーフンから未承認遺伝子組換え米の検出

平成17年     スーダン含有食品への検査強化(英国)

平成16年 1月  鳥インフルエンザの検出

平成15年     インド産トウガラシから未指定着色料スーダンの検出(仏)

平成15年 6月  メチル水銀含有食品の摂取規制

平成14年10月  ポテトのアクリルアミド発生問題(スウェーデン)   

平成14年     ダイエット用健康食品による健康障害発生(中国)

平成14年 7月  輸入ほうれん草の残留農薬事件

平成14年 5月  肉まんのTBHQ使用事件(中国)

平成14年 1月  未承認遺伝子組換えパパイヤ検出(米国)

平成13年 9月  狂牛病汚染牛発見(千葉)

平成13年 7月  鶏肉のインフルエンザ汚染(中国)

平成13年 6月  未承認遺伝子組換えポテト(ニューリーフプラス、Y)混入

平成13年 2月  牛肉、豚肉の口蹄疫事件(英国)

平成12年11月  牛肉の狂牛病事件(英国)

平成12年 7月  未承認遺伝子組換えトウモロコシ混入事件(英国)

平成12年 6月  黄色ブドウ球菌汚染事故(大阪、雪印乳業)

平成11年 6月  鶏肉のダイオキシン汚染事故(ベルギー)

平成10年10日  ピスタチオナッツ アフラトキシン汚染(イラン)

平成10年 8月  オリーブボツリヌス菌汚染(イタリア)

平成 9年 7月  鶏肉バンコマイシン耐性菌汚染(中国)

平成 9年     内分泌かく乱物質問題

平成 9年 5月  マグロへの一酸化炭素使用事件(台湾)

平成 8年 5月  病原性大腸菌O-157による食中毒(大阪)

平成 8年 3月  牛肉の狂牛病事件(英国)

平成 7年10月  ミネラルウオーター異物混入事件

平成 5年10月  米輸入(タイ)

平成 4何 9月  ウオッカフタル酸ジブチル混入事件(ロシア)

平成 4年 4月  ワインのイソチオシアネート混入事件(伊)

平成元年 3月  ブドウの毒物混入事件(チリ)

しっかり記憶にあるもの、全然知らなかったもの、色々ありました。

伊藤澄夫先生の講演からの引用です。  

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2008年7月21日 (月)

漢方と中医学の違い

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

漢方初学の方に、「漢方と中国医学はどう違うのか、どちらを学ぶのが良いのか」との質問を受けました。

丁度同じ趣旨の回答が、日中医薬研究会のホームページの掲示板に載っています。
日中医薬研究会関東支部の総括講師・河合齋先生の回答です。

漢方の勉強のために中国留学をお考えの方からの問い合わせのお答え

漢方の本場は中国か日本かと云うことになりますが、
確かに発祥は昔の中国に違いありませんが方技(漢方は漢の方術即ち漢薬を用いて病気を治す技術のことです)の伝承は
日本の漢方家に因るところが大で
現在の中国では仲景国醫大学など僅かの所で『傷寒論』『金匱要略』を教科として学んでいるだけで,大半は中医學を教えています。

それでは漢方(古方,後世方、折衷方とがあります)と中医學とどちらを勉強するのが良いかになりますが、
中医學も原典は『傷寒論』『金匱要略』であることにはかわりないのですが、
むしろ弁証法として体系化され末梢の学徒になると原典から乖離して理解されていないところがあります、
但し日本の古方家の多くは豊富な臨床経験に基いて処方を決定し標、本に基づく本当の意味での隨証治療が為されなくなっており

続きを読む方はこちらを。

続きを読む "漢方と中医学の違い"

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2008年7月20日 (日)

食物アレルギー

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

食品衛生法でアレルギー表示が規定されています。

表示義務品目と表示推奨品目があります。

えびかにが表示推奨品目から表示義務品目に格上げになるとのことです。

表示義務(7品目)

卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに

表示推奨(18品目)

あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

*可能性表示の禁止

「卵が入っている場合があります」のような可能性表示は不可。

「本品製造工場では、○○を含む製品を(使用した設備で)生産しています」は可。

*表示不要

・店頭で量り売りされる惣菜・パンなどその場で包装されるもの

・注文して作るお弁当など

物アレルギーの方は、本当に大変です。

その食材の痕跡に対してでも反応を起こします。

餌として食べた魚のお腹の中にある小エビになどにもしっかり反応してしまうのはあたりまえ。
製造ラインでのコンタミネーションで反応すると聞きます。

kiyohikoはキウイフルーツが若干駄目です。

身体が痒くなることがあります。

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2008年7月19日 (土)

小児体質改善のポイント

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

小児体質改善のポイントです。

諺に「児を惜しまば食を惜しむべし」、「子供は腹の割れるのを知らぬ」などの言葉があります。

植物を育てるには、水・光・肥料の管理が最も大切なように、子供を育てるにも水と運動と食事のバランスをとることが大切です。

親心とは、とかくやり過ぎになるものです。

子供も腹の大きさを忘れて自分の欲するままに詰めこむものです。食事の内容と量とに心を配るのが本当の親の愛情というものです。

体質的な歪みは、かたよった習慣から生まれたものですから、根気よくなおしてゆくことが必要です。

心構えを変え、習慣を変えて正しい生活をしましょう。

(1)腎、膀胱の大きさに合わせた水分量
     飲物は少ない方が丈夫です

2)歯の数に合わせた食べ物の組合せ
     肉のための犬歯は乳歯で1/5 永久歯で1/8

(3)体温より20度以上冷たいものは全身に有害
     体温を奪い、体力を弱くする

(4)夜8時以後の飲食は有害無益
     胃が肺や心臓を圧迫し、水は肥満、夜尿、寝汗等の原因に

(5)食事時の冷たい水は子供をダメにする
     胃を冷やし、胃液をうすめ、胃腸を弱くする

アトピ-、喘息、鼻炎、夜尿

子供たちの代表的な慢性病で、体力・気力・知力を低下させると共に、通院などのために学力もつきません。

病気だけを追いかけても、これらの体質病はよくなりません。

上気道や頚部リンパ節の肥厚・肥大を解消し overhydration(水分過剰症)を解決する漢方薬と、病気を繰り返さない体質作りが決め手です。

マサキ薬局のホームページ 「健康情報いろいろ」の項からの転載です。

つづきは、こちらから。http://masaki-ph.com/health.html

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2008年7月18日 (金)

皮膚炎を起こす植物

ふじみ野市 マサキ薬局 の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

アジサイのような食中毒でなく、皮膚炎を起こす植物も沢山あるのも驚きです。

山野に見られる植物

イラクサ、ウルシ、ツタウルシ、リュウキュウハゼ、ヤマハゼ、カクレミノ、キツネノボタン、センソウニン、マムシグサ、トウダイグサ

屋外で見られる園芸植物

アイリス、キク、アネモネ、クリスマスローズ、ハツユキソウ、スイセン、チューリップ

庭木・街路樹

イチョウ(銀杏)、キヅタ、ジンチョウゲ、ノウゼンカズラ、

室内・温室の植物

トキワザクラ、ホンコンカポック、ディフェンバキア、サボテン類、ポインセチア、ハナキリン、キダチアロエ

農作物

ビート、ダイコン、ホースラディッシュ、レタス、クルミ、サトイモ、こんにゃく粉、セロリ、タマネギ、ニンニク

果物

ミカン類、パイナップル、パパイヤ、マンゴー、キーウィフルーツ

香辛料

カラシ、トウガラシ、ショウガ、シナモン、ナツメッグ

精油・生薬

イランイラン、ハッカ、ラベンダー、ベルガモット、半夏、松脂

材木

ケヤキ、クロベ
ベイスギ、クログルミ
チーク、コクタン、シタン、カリン、ラワン、マホガニーランガス

動けない植物の防衛手段が、皮膚炎の原因物質の分泌なのでしょうか。

全ての人に影響するわけではありませんが、頭においておく事はどこかで身を守ることがあるかも知れませんね。

(指田豊 東京薬科大学名誉教授の講演からの引用です。参考文献は「植物による食中毒と皮膚のかぶれ」 少年写真新聞社刊があります)

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2008年7月17日 (木)

食育のルーツ村井弦斎(6)

ふじみ野市 マサキ薬局の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

『食道楽』に出てくる五味調和さがしの続きです。

第百六章 味の変化

「人の味覚は誰でも時によって変化する。
同じ物を食べても大層美味いと思う時がありさほどに思わないときがある。
料理人が何時でも人の口に合わせようとするのは非常の難事だ。
そこには才覚や気転というものがなければならん。
たとえば僕が一日朝から遠足に出て山野を跋渉して非常に疲労して帰ったと思い給え。
その晩には平成よりも甘いものが食べたくって滅多に食べない羊羹の二片位ペロリと食べる。
それが則ち生理上の必要から起こるので、疲労を医するは糖分に限る。
ー中略ー 
今の場合と反対で一日運動もせず、机に向かって勉強した日は脳を使うために胃の塩酸が少なくなって酢の物が食べたくなるけれども甘いものには閉口する。 
ー中略ー 
家庭料理を掌る人はそんな事まで注意して、今日は日曜日だから甘口の料理を拵えよう、今日は雨が降るから酢の物を多くしようと同じ五味調和する中でもその分量を加減しなければならん。
これも胃の悪い人が遠足すると無闇に喉が渇いて飲み物と酸い物が欲しくなるからそういう人のためには冷した珈琲とかを用意するがいい。 
その外勉強して脳を使う日には身体が蛋白質を需要するから肉類を食べなければならんし、運動して手足を使う日には含水炭素を要するから澱粉質類を食べなければならん。
寒い日には濃厚なものが好し。
暑い日には淡白なものが好し。
冬と夏で食べ物が違い、 朝と晩ともその材料を撰ばねばならん。
晩食に不消化物を多食すると翌朝へ持ち越して心持ちが悪いし、香料の強いものやライスカレーのような刺激物は昼食に用いないと夜になって神経を興奮させる。
-中略ー 
癇癪持ちの良人を持ったら刺撃性の物即ち胡椒や芥子や山葵唐辛子の類を沢山与えないようにしないと食物の刺撃で一層癇癪を増長させる。
そういう人には玉葱だの林檎だのと脳を鎮制させるような食物を多く用いなければならん。
これに反して無性な怠け者を良人に持たら興奮性の食物を択ぶがいい。
海辺に棲む時は酸い物を食べて塩分の刺撃を調和させなければならず、山中に棲む時は塩気の物を食べて身体を養わねばならず、十や十五の発達盛りと五十六十の老人とが同じ食物を摂取しては生理上の原則に負くからね」
とかくの如く論じ来たりなば家庭料理ほどむずかしき者はなし。

陰陽五行論で、味と対応する身体の臓腑、機能との関係から理屈を展開しています。

考えてみると思い当たる事、納得する事があるのではありませんか。

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2008年7月16日 (水)

水と健康(3)

ふじみ野市 マサキ薬局の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

読売新聞のシリーズ水と健康の続きです。

日本は加熱、欧州は生で

日本人一人当たりの年間ミネラルウオーター消費量は、1980年代の1㍑未満から増加の一途をたどり、昨年には約20㍑に達した。
銘柄も全国で600以上を数える。

「大自然の中でわき出る新鮮な水」という画一的なイメージを持っている人が多いが、「ミネラルウオーターの成分や処理法は、日本とヨーロッパではかなり違う」と日本ミネラルウオーター協会技術委員長の峯孝則さんは話す。

ミネラルウオーターにくすりに近い効用を期待するヨーロッパでは、一般的に言って、歴史的に安全性が確認された水源から採取し、何も手を加えず生で飲む、カルシウムなどミネラルが豊富な硬水が多く、無害な細菌まで含む含む文字通りのミネラルウオーターだ。

ところが日本でミネラルウオーターと位置づけられるミネラルウオーターは、食品衛生法に基づき、85度30分間の加熱殺菌か、同等以上の効果を持つろ過除菌、殺菌が行われている。

「生水を飲むのは怖いという意識が強い。加熱すると硬水は成分や味が変わるが、日本は軟水が多いので加熱しても影響しないし、軟水の方がお茶や日本料理に合う」と峯さんは説明する。

国内で販売されるミネラルウオーター類は成分、水源などによって4分類(品名)されている。
1か所の地下水源から採取し、ミネラルが多い「ナチュラルミネラルウオーターは、濾過など最小限の処理で成分の変化が少ない。
実は、水道水も容器に詰めれば「ボトルドウオーター」というミネラルウオーター類になる
品名や採水地はラベルに必ず表示されるが、処理方法は義務付けられてはいない。
販売されるミネラルウオーターは18項目の水質検査をパスしているが、「詳細を知りたい場合はメーカーに問い合わせるとよい」と峰さんは話している。

農林水産省が定めたミネラルウオーター類の分類

ナチュラルミネラルウオーター:1か所の水源の地下水でミネラルが多い

ナチュラルウオーター:1か所の水源の地下水だが、近くの川の水とミネラル量に差がない。

ミネラルウオーター:複数の水源の地下水を混ぜたり、ミネラルを微調整したもの。

ボトルドウオーター:地下水以外の水や、地下水でも本来の成分を大きく変化させたもの。

漢方の古典には、くすりを煎じる時使う水を前処理する事を規定している場合があります。
甘燗水(カンランスイ)、漿水(ショウスイ)、潦水(ロウスイ)、麻沸湯(マフツトウ)などの名がついています。

漢方医語辞典によると、

甘燗水:充分に撹拌した練り水のこと。

漿水  :清漿水、漉過して糟粕(カス)を去りたる水。

潦水  :タマリ水・無根水、時珍曰く、甕(カメ)水の未だ放たざるものをいう。又吊桶の下滴なりと。

麻沸湯:よく沸騰せる湯。湯の沸時に泛沫の麻子のごときをいう。

硬水を撹拌すると、ミネラルが析出して少し軟水化するということでしょうか。

軟水を使う方が煎じたとき成分の溶出がよくなるはずです。

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2008年7月15日 (火)

食のリスクの一口メモ(3)

ふじみ野市 マサキ薬局の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

シーズン到来の食中毒関連のミニデータです。

       食中毒発生状況

件数     2006         2005         2004         2003         2002

事件数   1491         1545         1666         1585         1850

患者数      39026       27629       28175        29355       27629

死者数         6              7              5              6            18

        2002年の死者数が多い原因はO‐157です。

食中毒発症件数(2006年度)

          事件数     患者数     死者数     備考

総数        1491         39026            6

魚介類           80             772            1           フグ

魚介類加工品         8             164            0

肉類・加工品         71             950            0

玉子・加工品          7              158           0

乳・加工品             1                81           0

穀類                   28              335           0

野菜類                97              787           2

菓子類                11              594           0

複合調理食品     141            7194           0

その他               582          23009           2          キノコ

不明                  467           4982            1

データは、こちらから。http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/04.html#4-2

10万人当たりの年間死亡者数 というデータはこうなります。(中谷内一也・リスクのモノサシ)

ガン                    250

自殺                     24

交通事故                9

火事                      1.7

食中毒(’60年)        0.27

自然災害                0.1

食中毒(’80年)        0.0107

食中毒(’00年)        0.004

落雷                      0.002

食中毒の発生件数、患者数に比して、死亡者数はうんと少ないのですね。

ちなみに、日本人(1億2700万人)がBSEに罹るリスクは、0.0026人。

今日までBSE対策に投入された税金は、人件費を除いても約4000億円。

消費者・業界の経済損失は、約6000億円以上。

そして現実の死者はゼロ。

という計算もあるそうです。(小澤義博氏)

どう評価したら良いのでしょうか?

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2008年7月14日 (月)

水と健康(2)

ふじみ野市 マサキ薬局の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

読売新聞のシリーズ水と健康の続きです。

「体によい」をうたい文句をする水は多いが、科学的に証明されたものは数少ない。「その一つが硬水。ただし、腎臓が悪い人は逆効果」と語るのは藤田紘一郎先生。

硬水とは、一般にカルシウムやマグネシウムなどミネラル量が、1㍑当たり120㎎以上含まれる水のことをいう。日本の水は軟水が多いのが特徴だ。

海外では硬水を飲む地域の寿命が長い。
その要因として注目されるのがカルシウムだ。
食事や水でカルシウムを摂取する場合、過剰になる心配はないが、不足が長期にわたると骨から過剰にカルシウムが溶け出す。
血管を固くし心筋梗塞を引き起こす事もある。
この流れを食い止めたりカルシウム不足を予防したりするのに硬水が役立つという。

藤田さんは「日本人は伝統的な和食でカルシウムを摂取していたが、西洋風の食生活で、カルシウムが不足している。
その場合、硬水がお勧め。でも腸が過敏だと、下痢も起こるので、体調や食生活を考えて利用して」と話す。

波動やクラスター、マイナスイオンなどの用語を使った様々な水が登場しているが、げんざい、国が認めているのは水を電気分解して作る「アルカリイオン水」のみ。慢性下痢や胃酸過多に有効だが根拠のない効能の宣伝広告が問題になった事がある。

水ビジネスを科学的に検証している法政大教授の左巻健男さんは、「化学的、医学的根拠に欠ける商品が多く注意してほしい」と話す。

        カルシウム不足
            ↓
     副甲状腺ホルモンによるSOS信号
            ↓
  骨や歯のカルシウムが血液中に溶出
      ↓            ↓
  骨がスカスカ      血液中にカルシウム過多
      ↓            ↓
  骨粗しょう症       動脈壁に付着
                    ↓
             動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中

日本は国土が小さく、山から海までの距離が短いので、川の流れが急で、降った雨が短時間で海に入ります。
従って、水が土と接触している時間も短くなり、土に含まれているミネラルが川の水に溶け込む暇がない。
そのため軟水になります。

一方、欧米、中国などの大陸は、川が何千キロもゆっくり流れるので、ミネラルがたっぷり川の水に溶けこみます。
当然硬水になるわけです。

海外の大陸へ出かけると日本人はすぐ下痢をする人が多くなります。
食中毒や消化不良ではなく、硬水による下痢、俗に言う水あたりの事も多いのでしょう。
香辛料の多い食事でも、慣れない日本人は下痢する事がよくあります。
香辛料(辛温の気剤)は大腸の働きを活発にする作用があるからです。
腸に水がチャブチャブたまっている事が多い日本人は、大腸が活発に動くと、たまっている水がどっと流れ出て下痢になるのです。
でもその下痢は出ると気持ちの良い下痢です。

料理がおいしいのは軟水です。軟水だから和食の鍋や煮込む料理はおいしいのです。
硬水は鍋などには向かないので、大陸の中華料理などは油の料理が多くなったのだと聞いています。

つづく

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2008年7月13日 (日)

タミフルの嫌疑は晴れた??

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10代投与再開、8月に判断へ=タミフルで舛添厚労相 (時事通信)だそうです。

タミフル 異常行動「関係なし」 10代への処方禁止見直しも(産経新聞)もあります。

色々なドクターのコメントをネット上で見ることが出来て参考になります。

mikoさんが取り上げて、賛否両論を紹介しています。http://miko.iza.ne.jp/blog/entry/641608/

mikoさんは、

私の意見は
毎回テレビにご出演の 専門家の病院で 
きっちりと 比較試験を やればいいのです
やってない!
たぶん やれないんです
有効性がでない
もしくは 
タミフルが 危険と わかるから
なんて 邪推しますが・・

と仰っています。

浜六郎先生のこの意見に対する回答が聞けると有り難いのですが。

廣田班データはタミフルの異常行動発現を裏付けている。
1.56倍起こしやすい
24人に1人がタミフルで異常行動

この問題を検証するドクターの初期のメンバーの中に、タミフル製造メーカーから研究費をもらっていた方が入っていたと報道されたのを記憶しています。
公正さが大事な問題に対して、この感覚は常識外の気がします。これで医療の先進国といえるのだろうかと思った事を思い出しました。

タミフル問題は、マサキ薬局のホームページ「風邪とインフルエンザ」の項でも少し取り上げています。ご覧下さい。

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2008年7月12日 (土)

夏ばて予防

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今年の夏も猛暑になりそうです。夏ばて予防の対策をお考え下さい。

高温多湿の日本の夏は、誰もが食欲不振、腹痛、下痢、つかれ、だるさなどの夏ばてのトラブルになやまされます。どうしてなのでしょうか。

夏ばてのメカニズム

人体は体温調節のために体表から汗を出し、その気化熱で体表を冷やし暑さを防いでいます。
夏にたくさんの汗をかくという生理現象は、心臓がオーバーに活動し(同時に神経も張りつめる)皮膚や頭部に血液が集中する状態になっています。
一方、胃腸や下半身には血が少ない状態つまり貧血しているので、暑さが続くとそれに耐えられなくなって、疲労や食欲不振、腹痛、下痢が起こるのです。
夏は水分代謝が激しいので、それだけ水分の補給や冷たいものが欲しくなりますが、水分を摂りすぎたり、塩分の補給が少ないときは、尿や汗で水分を排泄し切れなくて、胃腸に水分が停滞して胃腸を冷やし、機能を低下させ、腹痛や下痢が起こってきます。

夏ばて対策の基本 弱った胃腸のたてなおし方

① 消化吸収の良いアミノ酸(タンパク質)と植物脂肪を選び、必ず適切な香辛料を添えてください。アミノ酸はエネルギー源としてではなく、体を作る材料として重要で必須のものです。香辛料は健胃整腸作用と胃腸を温める作用がある辛温の性質のものが必要です。植物脂肪としてはゴマのほか、椿油えごまがおすすめです。

② 水分代謝が旺盛な時期に水分を補給しすぎると、夏ばての原因になります。水分を補給する時には、天然の塩を添えれば、余分な水を最も合理的、省力的に排泄し、かつ発汗を促進できます。飲用は、利尿作用のある発芽ハトムギ茶がおすすめです。

③ 肝機能を助ける作用のある、酸味の補を心がけてください。玄米黒酢を使った酢のもの料理や、有機酸、ビタミンCを含む酸味のリンゴ、トマト、ウメなどを料理に添えることで、口渇を止め、過剰な水分を摂取しないようにしながら肝機能をたすけられます。

マサキ薬局のホームページの「夏バテで胃腸のトラブルは漢方で」もご覧下さい。

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2008年7月11日 (金)

水と健康

ふじみ野市 マサキ薬局の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

7月9日から、読売新聞朝刊の健康欄で、水と健康と題するシリーズが始まっています。

このシリーズは、

成人の身体の60%は水。元気に過ごすには、よい水を選び、効率よく摂取する事が大切だ。飲み水と健康の関係をを整理してみたい。

と始まっています。

漢方には、「気、血、水」という概念があります。人体構成、健康の重要要素に気・血・水の三つがあり、この三つのバランスが崩れている状態が病気であるという考え方です。それぞれの崩れを修正する薬物を、気剤、血剤、水剤と呼んでいます。

水は重要な3要素の一つです。
漢方の視点から考察しながら読んでいきたいと思います。

平均的な1日の水分の出入

摂取量
食物      1.0ℓ
飲料水    1.2ℓ
代謝水    0.3ℓ

計       2.5ℓ

排泄量
尿       1.5ℓ
大便      0.1ℓ
汗や呼吸   0.9ℓ

計       2.5ℓ

日本医科大腎臓内科教授の飯野靖彦さんは「食事でとる水分は約1㍑。季節や運動量にもよるが、毎日1~2㍑程度は水を飲んでほしい」とアドバイスする。

高齢者の場合、脱水症状のサインである、のどの渇きを覚えず、脱水症状が進行してしまう事がある。体の80%を水分が占める乳幼児も同様だ。
脱水を簡単に見分ける方法には、
①わきの下が湿っていない
②つめを押した後2秒以内に赤くならない

などがあり、試してほしい。

激しい運動時には、スポーツドリンクで脱水症を予防したい。

万一、熱中症などで激しい脱水症状に見舞われた場合は、大量に失われた塩分を早急に補給したい。その場合、スポーツドリンクよりも塩分が濃い経口補水液が効果的だ。自宅で水1㍑に砂糖40㌘と塩3㌘を混ぜてつくれるが・・・

「脱水時には、はきけも伴うので、経口補水液を少量ずつ飲ませるのがこつ」

西洋医学は、溢水(いっすい)については気にかけることは少なく、脱水(だっすい)に関してはよく気を使います
脱水よりも溢水を起こしやすい多湿の島国日本と、乾燥気候の大陸欧州との気候風土の違いからなのでしょう。
1~2㍑の水分補給をおすすめとなっていますが、運動量の少ない人は少な目にするのが日本人向きの養生です。

つづく

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2008年7月10日 (木)

あじさい中毒情報に疑問??

ふじみ野市 マサキ薬局の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

あじさい中毒報道は勇み足の可能性がありはしないでしょうか。

7月1日付で、厚生労働省監視安全課長名で「アジサイの喫食による青酸食中毒について」通達が出ています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/kanshi/080701-1.html 

事例は、2件です
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/kanshi/dl/080701-1a.pdf

先月、つくば市と大阪市で、料理に添えられたアジサイの葉を食べた人が、30~40分後に、嘔吐、吐き気、めまい、顔面紅潮などの症状を起こしたというものです。

(注)アジサイ
葉などに青酸配糖体を含み、咀嚼、胃内の消化等により青酸配糖体と酵素が反応し、遊離した青酸(HCN)によって嘔吐、失神、昏睡等の中毒症状を起こす。

とあります。

アジサイの葉に含まれる青酸が原因と断定しているととれるような文章です。

これが本当なら、危険な植物が今さかんに愛でられているわけです。

実際に、これらの事例で青酸が検出されているのでしょうか。検出されたという報道はまだ耳にしませんが。

アジサイの葉に青酸が含まれているという、確たる文献はあるのでしょうか。

アジサイに青酸が含まれているという話しは聞いた事がありません。

似たようなものとして梅のアミグダリンは有名ですが。

根拠に興味がわきます。

甘茶という植物があります。薬用植物で医薬品扱いです。お釈迦様つながりで有名なこの甘茶は、アジサイの一種なのです。甘茶に青酸が含まれているならとっくに判っていたはずです。

そんな事はないとして、安全な医薬品として長年流通してきて問題がなかったたわけです。

患者を診た医師が 「症状が青酸中毒に似ている」 とは言ったのでしょうが、青酸中毒と断定する場合は、検出を確認してから発言するはずです。

その時の主役の料理に問題がないことが確認されているのでしょうか。

アジサイが原因だったとしても青酸以外の成分が犯人だった可能性はどうなのでしょうか。

どう推移するのか、気になるところです。

カイワレダイコン事件を思い出してしまいます。

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2008年7月 9日 (水)

食育のルーツ村井弦斎(5)

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『食道楽』に出てくる五味調和さがしの続きです。

第四十二章 カツレツ

五味調和とは関係ないかもしれないカツレツの調理法の部分も面白いので全文引用します。

小山の細君は再び台所に退きてやがて西洋皿に鶏肉のカツレツを盛りて出で来たれり
「中川さん、このカツレツは誠に不出来でおはずかしゅうございますが貴君に一つ本式の料理法を伺いたいと思います、私どもがカツレツを拵えますとどうしても白く出来ませんどういう訳でしょう」と素人のカツレツは往々にこの幣あり。
中川はその肉を試みて思案し「それでは鶏の肉を湯煮ずに直ぐお揚げなさいますか」
妻君「イイエ湯煮ません」
中川「湯煮ないと火が通りません。最初に鶏の肉を三十分ばかり湯煮ておいて、そてを先ず玉子の黄身でくるんで米利堅粉をつけて、モー一度玉子の黄身でくるんで今度はパン粉へ転がして塩と胡椒を撒いてそれをバターなり何なりで揚げるのです。湯煮てありますからザット揚げれば直ぐ出来て赤くも黒くもなりません」
妻君「オヤそうでございますか、良人は鶏の肉が好きで毎度拵えますがいつでも小言を言われます」
中川「小山君は鶏の肉が好きかね、それならば僕が今度君に無類飛切という鶏の肉をご馳走しよう、如何なる金満家も贅沢家もまだ滅多には試みない鶏料理を差し上げよう」
主人「是非願いたい、何という鳥だね」
中川「それはその時に説明しよう。奥さん色々どうもご馳走でした。オヤまだ何か出ますか、ナニ蜜柑の葛掛け、これは妙ですな。山葵の匂いと辛味があっていわゆる五味の調和ですか」
妻君「五味だか何だか分かりませんが、それは先ず塩とお砂糖で濃い葛湯を拵えてそれへ摺った山葵と蜜柑の実ばかりとを入れて掻き混ぜたのです。上等にしますと三寸位の山葵なら一合の沸湯を注いで、固く蓋をしておく事が一時間、そうすると山葵の辛味がすっかりお湯へ出ます。その湯を沸かして葛湯を拵えて蜜柑の外に林檎を小さく切って加えるとようございますけれども急ぎましたから略式に致しました」と当座の御馳走ながら妻君がお登和嬢に笑われマジとて心を籠めたる苦心の料理。
中川も一々賞翫して自分の主張せし五味の調和説が追々行われんとするを悦び「小山君、支那人の五味調和説も段々研究してみると西洋の生理学に暗号しているから妙だね。生理学上で食物を消化するのは五つの液だ。第一が唾液、第二が胃液、第三が膵液、第四が胆汁、第五が腸液さ。その中で唾液と膵液と腸液の三種が米や麦のような澱粉質を消化する。胃液と膵液と腸液との三種が肉類のような蛋白質を消化するし、膵液と胆汁との二種がバターのような脂肪分を消化する。唾液は口から出てアルカリ性だから鹹からい味だし、胃液は酸いし、肝臓から出る胆汁は苦い。膵液と腸液はどんな味だか知らんけれどもとにかく五種の液が消化する処へ五種の味を喫するのは自ら暗合しているね。この原則で見ると肉類は重に胃で消化され穀物は腸で消化されるから日本人のような穀食人種は腸の長さが平均三十尺あって西洋人よりもよっぽど長くかつ太いそうだ」
主人「日本人の中でも大原君の腸なんぞは特別に長くって太いだろう。大原君の太鼓然たるは胃袋が大きいばかりでなく腸も特別大きいのだ。胃腸跋扈して腹中の天地を横領するかなアハハ、時にその大原君はどうしているか、そろそろ出かけてみよう」と客を促して共に大原の下宿へ尋ね行きぬ。

○鶏肉は平均蛋白質壱割八部ないし弐割、脂肪が九分ないし壱割、その余は水分なり。
○鶏肉は屠殺いたるものを直ちに調理しては味悪し。冬ならば三、四日の後、夏ならば一両日の後を可とする。
○鶏その他鳥類の病死せるものあるいは腐敗に近きものは眼の中に水液を含み嘴の中ねばり、羽抜け易くして肛門ゆるみす水気を含む。用ゆる者はよく注意すべし。
○鮮しき鳥は前文の悪兆なく眼の球に光沢あり。
○陸上の鳥類即ち鶏鳩鶉鴫雉の類は消化良し。海鳥即ち雁鴨鵞水鳥の如きは陸鳥に比して消化悪し。

五味調和をここで、こんな風に説いていました。

カツレツつくりの手順はどうなんでしょうか。

肉食民族と菜食民族の腸の長さの違いに着目している点もさすがです。

つづく

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2008年7月 8日 (火)

食育のルーツ村井弦斎(4)

ふじみ野市 マサキ薬局の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

『食道楽』の中で村井弦斎が五味調和について、どう触れているかをさがします。

ありました。春の巻 第三十四章 五味。 タイトルになっています。

食物を喫するを知りて食物を味わう事を知らざれば共に料理の事を談ずるに足らず。
食物を味わう事を知りて料理の法を知らざれば共に生理の事を談ずるに足らず。
人のこの世に生存するは毎日の食物を摂するがためなり。
食物は生存の大本なるに世人の深く注意せざるは怪しむべし。
この家の主人中川は平生食物論を研究すると見えて頻りに長広舌を揮い
「小山君、モー一つ僕の言うことを聞いてくれ給え、西洋料理にも今のような生理の原則はあるが素人に解り難い。
支那料理の原則たる五味の調和という事は誰にでも応用が出来て自然と化学的作用に適合しているね
即ち料理には必ず甘いと鹹(しおからい)との外に辛いと酸いと苦いという五の味が備わらねばならん。
日本人の食物は多く二味か三味で成立っているが僕の家では注意して必ず五味を調和する。
今差し上げた料理の中にいといのは勿論、胡椒や芥子のいのがあり、梅干や蜜柑のいのがあり、百合や蜜柑の皮のいのがあって、五味になる。
梅干を使わない時は酢の物を拵えるとか百合のない時には款冬のとうとか鮎のウルカとか必ず苦味酸味を膳の上に欠かないのが五味の調和だ。
普通の人の食物は単調単味に過ぎるようだが五つの味が互いに化学作用をすると消化も好し心持も好い
これはどうか世人に勧めたいと思うね」

客「なるほど、それも至極よかろう。・・・」

(以下略)

○支那にては五味を配合する中にも春は酸味を主として夏
 は苦味を交え、秋は辛味を加え、冬は鹹味を多くす。
 甘味は四時通用なり。これも自ずから学理に適いたる養
 生法というべし。
 春は逆上の気ある故に酸味を以て引き下げるなり。夏は
 胃の働き弱る故苦味を用い、秋は気の欝ぐ時故辛味に
 て刺撃し、冬は体温を保つために塩 分を要す。

陰陽五行の理論では、

肝・心・脾・肺・腎の五臓と春夏秋冬土用の季節はそれぞれ、

肝=春 心=夏 脾=土用 肺=秋 腎=冬 に配当されています。

弦斎が(注)で補足しているのは、それぞれの季節は対応する臓器に負担がかかるという原理に基づいています。

五味調和の意味の詳細については、
こちらの図 と、

Gomi2

こちらの説明 http://masaki-ph.com/eating.html を、ご覧下さい。

五味調和は、「何を食べるのが良いのか」だけではなくて、「どう食べるのが良いのか」という設問に対する解答です。これが現在の食育、食養生論で一番かけていることです。
弦斎はこの点でも当を得ていて素晴らしい。

つづく

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2008年7月 7日 (月)

食育のルーツ村井弦斎(3)

ふじみ野市 マサキ薬局の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

前回の村井弦斎(2)は、神童的な生立ちから食道楽がブームを巻き起こした所まででした。今回は、当時のメディア・新聞業界の状況を黒岩比佐子さんの書籍で調べてみます。詳しくは、『食道楽』の人 村井弦斎食育のススメ食道楽(上)・(下)の解説をお読み下さい。

食道楽が刊行された明治三十年代は、ガスも電気もほとんど普及しておらず、電化製品は勿論氷の冷蔵庫もない時代で、生ものはすぐ腐るし、冷たいビールなんて贅沢だった時代です。煮炊きは竈(かまど)でだし、電話はまだごく一部、自動車はまだない時代です。

新聞も現在とはいろいろな点で違っていました。まず、発行部数がいまとは比較にならないほどわずかです。これは文字を読めない人がいたこととも関係しています。また、明治前期のころまでは、知識階級に読者を限定していた「大新聞(おおしんぶん)」と、一般の庶民を相手にした「小新聞(こしんぶん)」とに分かれていました。

大新聞の記事は政論中心で文章は堅苦しい漢語調、ルビはふられていません。最初は「よみもの」とか「つづきもの」と呼ばれていた小説も載せないのが原則でした。明治初期に、天下国家を論ずる大新聞を代表していたのは、『曙新聞』『東京日日新聞』『朝野新聞』『郵便報知新聞』など。村井弦斎が入社したのは、この、『郵便報知新聞』を発行していた報知社です。

小新聞は大新聞より版型も小さく、価格も安く、人々にとってはより身近なメディアでした。その中で、ニュースにフィクションを加えた「よみもの」や「つづきもの」が掲載されるようになり、これが新聞小説の原型となりました。明治初期の小新聞としては、「読売新聞」「平仮名絵入新聞」「仮名読新聞」はどが挙げられます。「読売新聞」は現在は日本一の部数を誇っていますが、初期は小新聞だったということです。

日清戦争のころになって、大新聞と小新聞が歩み寄るような形で両者の誌面の差がなくなってきて、大新聞が小説を掲載するようになりました。大新聞で初めて小説連載に踏み切ったのが「郵便報知新聞」(明治27年に「報知新聞」と改題)です。当時の報知社社長が、政治小説「経国美談」の著者として知られる矢野龍渓でした。村井弦斎は龍渓にその文才を認められ郵便報知新聞で小説を連載することで小説家の道に入ったわけです。そして食道楽の連載が大ブームを巻き起こし単行本のが大ベストセラーとなっていったのです。

(ここまでは、食育のススメからの引用)

弦斎が活躍した明治二十年代から三十年代半ばの文壇の代表は「紅露逍鴎」、すなわち尾崎紅葉、幸田露伴、坪内逍遙、森鴎外だといわれているが、本の売れ行きから見れば、四人合わせても弦斎一人の数分の一に過ぎなかったという。弦斎の『食道楽』は「大衆に読まれる」ことを前提に書かれた小説であり、内田魯庵のような評論家からは痛罵されたが、読者からは大歓迎された。(「食道楽(上)」岩波文庫版解説より)

こんなすごい人気作家がいた事がうそみたいです。しかし現実には、

村井弦斎は、六十三年の生涯で約四十の主要な小説と約二十の短編、その他に多数の随筆や評論を書いたが、いまやその名前はほとんど忘れられている。かろうじて、本書「食道楽」の著者として記憶されているにすぎない、といってもいいだろう。(「食道楽(上)」岩波文庫版解説)

とあるとおりです。私も知りませんでした。

食育のススメのあとがきにはこうあります。

本書を読んでいただければわかると思いますが、村井弦斎が書いた『食道楽』はとにかくおもしろい。おいしい料理を食べる幸せ、未知の味を知ったときの喜びというものが、全編にあふれています。
しかも、文中に具体的なレシピが紹介されているばかりか、料理の薀蓄、食物が身体に与える影響、料理の素材や道具の知識、生活全般の知恵など、読みながら自然に多くのことを学べてしまう。
「家庭生活」の重要性が問われ始めた明治中期に、村井弦斎の『食道楽』は、まさしく日本発の"食育小説"と呼ぶにふさわしいでしょう。
これまでに『食道楽』を何度も読み返してきましたが、読むたびに新たな発見があり、食育基本法がつくられる百年以上も前に、村井弦斎がこうしたユニークな小説を執筆して「食育」を推進していたことに驚かずにはいられません。
しかも彼は『食道楽』以後、断食や木食などの研究に没頭し、あるときは仙人のような生活を試み、自分の身体を実験台にして、文字通り命がけで「食と人間」の関係について究めようとしました。
現在「食」に関するニュースが連日のように社会を騒がせていますが、食の安全に不安を抱く人や、病気を予防する食事や料理法に関心を持つ人は多いと思います。明治という時代になじみのない方々にも、この機会に『食道楽』という小説の魅力を知っていただければ幸いです。

次回は、弦斎が食養生の基本五味調和についてどう述べているかを調べてみます。

つづく

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2008年7月 6日 (日)

食育のルーツ村井弦斎(2)

ふじみ野市 マサキ薬局の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

食育の先駆者村井弦斎とはどんな人だったのでしょうか。

黒岩比佐子さんの「『食道楽』の人 村井弦斎」(岩波書店)に詳しいので、その記載によってプロフィールを簡単にまとめてみます。

村井弦斎(本名寛 ゆたか)は1863(文久3)年12月18日、三河国吉田藩藩士で漢学者の家系の村井清と妻の勢以(せい)の長男として、豊橋(愛知県)に生まれた。
激動の幕末を経て村井一家三人は寛の学向修行目的で明治5年3月上京する。弦斎7歳の時である。
すぐに小学校に入学するが、学力のレベルがはるかに上を行っていたので半年余りで退学し、駿河台学校に入学しロシア語を学び始めた。その一方で一流の漢学者の許でも学び始めている。
明治6年11月東京外国語学校が開校すると、規定の13歳に満たないにもかかわらず魯語学(ロシア語学)に入学を許された。
最年少だったと思われる寛は、猛勉強の結果、明治11年3月には特待生として寄宿舎入りし、さらに翌年2月には主席になっている。

優秀な成績を収めた寛であったが過度の勉強がたたってか、16歳頃から健康を害して、しばしば学校を休むようになる。
明治14年2月病臥していた寛の父清の許に校長から出頭を求める書状が届く。
そして、卒業の見込みが立たないという理由で、寛の退校が言い渡された。卒業目前にしての事であった。
黒岩比佐子さんは、当時の良く使われた病名の脳病、今でいう欝病だったと推測しています。

日ならずして回復した寛は、北海道、東北地方へ半年にわたる調査旅行に出かける。
その後、明治17年8月に渡米、1年余り滞在して見聞を広め、明治18年9月無事に帰国する。

帰国後弦斎は報知社社長・矢野龍渓にその見識を見込まれて明治21年、報知社に入社する。
龍渓は「弦斎」という筆名の名付け親であると同時に、新聞小説家・村井弦斎の生みの親であり、育ての親でもあった。
啓蒙主義者である龍渓の考える新聞小説は、その後、寛の手で次々に花開いていく。
明治23年7月弦斎は初めて「郵便報知新聞」に「匿名投書」という小説を連載した。
この時から弦斎は「新聞小説家」として本格的に歩み始めた。
以後、「鉄欄干」「大洪水」「白鼠」と書き続けている。
「小説家」「近江聖人」「桜の御所」などを発表し、家庭小説の先駆的作品である「小猫」と長編「日の出島」(明治30年)で一躍人気作家となった。 

明治33年(37歳)7月、尾崎宇作と峯子の長女多嘉子と結婚する。

明治34年(38歳)、「新編百道楽の第一」として「釣道楽」の連載が始まり、明治35年、「猟道楽」「酒道楽」「女道楽」と続いた。

そして明治36年(40歳)、「食道楽」の連載が始まり大ブームとなった。
「食道楽」は六百数十種の和洋中のレシピが盛り込まれ単行本となるや爆発的な売れ行きを示した。

食道楽(上)の黒岩比佐子さんは解説で、
『連載中から、春夏秋冬の四巻の単行本が順次刊行春の巻はされると飛ぶような勢いで売れ、六ヶ月で三十版を記録し、この一巻だけで四万五千部以上、四巻では軽く十万部を超えた。』
『春の巻の売れ行きはすざましく、市場から本のカバー用の紙と綴じ糸が払底して、増刷が間に合わないほどだった。そのため、客から注文を受けた本屋の小僧たちは、出来上がった本が届くと取っ組み合いの喧嘩をして奪い合い、・・・』
と書いています。

つづく

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2008年7月 5日 (土)

食道楽が説く玉子の善悪(2)

ふじみ野市 マサキ薬局の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

食道楽の玉子つながりで続けます。

食育のススメ(黒岩比佐子)」という本が食道楽を解説しています。、

鶏卵は早くから食べられていましたが、値段が高く、お歳暮の贈答品などにも使われていました。
当時の主婦にとって、鶏卵を買うときに「いかに新鮮なものを見分けるか」ということと、買ってから「いかに長期保存するか」は大問題でした。
卵の外観を見ただけでは、生みたてで新鮮なのか、腐りかけているのかがわかりません。
もちろん、一般家庭にはまだ冷蔵庫などはありません。日本に冷蔵庫が登場したのは、1903年(明治36年)の第五回内国勧業博覧会に出品されたのが最初だといわれています。
いまとは違って、当時は公的機関による食品の検査や、規格の設定などが整備されていませんでした。
そのため、不良品を売りつける悪徳商人もいれば、食品の安全や衛生に関する意識もお粗末なもので消費者は自分で食品の良否を判定して買うしかなかったのです。

毎日のように口にする食物が安全であるかどうかを、自分の責任で見分けなければならないのですから、頭の痛い事だったでしょう。
実際に、牛乳や酒に水を混ぜて売るという事件が起こっていたそうですし、水ならまだしも、有害物が混入したり、腐敗した物が堂々と売られていることもありました。
そういう状況だったため、弦斎は『食道楽』で食品の鑑定についてかなりのページを割いて説明しています。
その部分を今読むと、やや奇異な感じがするかもしれませんが、明治の女性たちにとっては切実な問題だったわけです。

黒岩比佐子さんは、ノンフィクションライター。2004年に「『食道楽』の人 村井弦斎」(岩波書店)でサントリー文芸賞を受賞しています。
古書の森日記 by Hisako という、とても面白いブログを公開しています。
明治など近代文学について時代背景含めいろいろ教われます。

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2008年7月 4日 (金)

「食道楽」に説く玉子の善し悪し

ふじみ野市 マサキ薬局の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

玉子のテーマつながりです。食育と食のリスクの両方に関連してきます。

村井弦斎の食道楽(明治36年)には、鶏卵のテーマが第37章「鶏卵の半熟」、第38章「玉子の善悪」、第39章「食品の注意」と続きます。

第38章 玉子の善悪

小山の細君は教えに従って深き鍋を火鉢に載せたるが玉子の箱を台所より客の前に持ち来り 「中川さん、おついでにどうぞ玉子の善悪の選定法を教えて下さい。全体玉子はどういうのが良いのでしょう」 

中川 「そうですね、玉子の良否を択ぶのは必要な事ですが日本人は平生食物問題に不注意だから玉子屋が善いのも悪いのも皆んな混ぜて売っていますし、買うほうも構わずに買います。
西洋では色々区別があって値段の高下はその大小によらずして品質の良否によるそうです。
先ず大体からいうと玉子の皮がテラテラ光って光沢のあるのは古い証拠で、少しも光沢のないちょうど胡粉を薄く塗ったようなのが新しいのです。
玉子は古くなるほど胡粉のようなものが取除れて段々光ってきますから光ったものを買ってはなりません。
それから皮の薄紅いのと白いのがありますね、薄紅いのは肉用鶏の産んだので白いのは産卵鶏の産んだのですから白い方が遥かに上等です。
西洋では白い玉子と紅い玉子とは白い方が値段も高いそうです。
よく気をつけて御覧なさい。
紅い方は大概皮が厚くって白い方が薄いものです。
皮の厚いのは滅多に産まない肉用鶏のですから石灰分が多いのです。
薄い方は沢山産むから石灰分が少ないのです。
それから同じ大きさでも重量が大層違って十二匁のものもあり十四匁のもあります。
軽いのは品質が悪いのでかつ必ず古いのですから重いのを買わなければなりません。
してみると光沢のない白い玉子で重いのが一番上等なのですけれどもモー一層上等なのは受精しない玉子です。
受精しない玉子は味も大層良いし、保存期も大層長いそうです」と説明ここに至りて聞く人に解しやすからず。

中略

主人 「なるほど妙な訳だ。受精した玉子と受精せん玉子と外部から見て解るかね」
中川 「外面からでは解らんが割ってみるとよく解る」
主人 「では割ってみよう。お徳や小皿を二、三枚持っておいで」 とむずかしき玉子の検定法が始まれり。

第三十九章 食品の注意

世人の多くは毎日鶏卵を食することを知れどもその品質の良否を択ぶ事を知らず、大小を問えども新古を問わず、新古を問えども実質を問わず、実質を問えども受精したるや否やを検定するもの寡し。これ平生食物問題に不注意なるの致す所にあらずや。
客の中川は側にありける鶏卵を執りて小皿の上に割って落とし 
「小山君、よく見給え、玉子を皿の上へ割ってみて黄身がこの通り中高に盛り上がっていて白身も二段か三段に高くなっているのは新しい証拠だ。
こういうのは川の光らない玉子に限る。川の光ったのを割ると黄身も白身もダラリとして横に広がる。それは古い証拠だ。
そこでよく見給え黄身の上に鳥の目位な円い小さな線があるだろう。
俗に黄身の眼というがこれは玉子の胎盤だ。
ソラ見えたろう、これだこれだ、奥さん、お分かりになりましたか、色が薄いからよく見ないと分かりませんよ。この眼が黄身の真中にあって眼の近所には何もありますまい。こういうのは受精しない玉子です。
中略
もう一つ割らせてください、ソラ今度こそ受精しています。
これは眼の処へ透明ったドロドロのようなものが付着いていてそれが黄身の白い紐と連結してあります。
エ、分かりませんか
。どんな玉子でもこの通りに黄身の両端から白い筋が出ていましょう。これは黄身を両方の皮へ繋いで釣っている紐でカラザというものです。
この紐で両方の皮へ釣っているから黄身がいつでも真中にいるのです。
中略
一度こうやって双方をお見比べになると今度玉子を割ったとき、これは受精している、これは受精していないという事がすぐお分かりになりましょう。
何事も注意次第です。
殊に食物を取り扱う人は注意が肝腎です」 
と実物について丁寧に説明する。

と続きます。

まさに食育の講座ですね。食材、玉子の善し悪し、新旧の見分け方の講義です。冷蔵庫のない時代ですから新鮮なものを見分ける力を身につけ、傷まぬうちに調理して食べるというのが炊事担当の女性に要求される素養だったという事なのでしょう。

つづく

漢字の問題でいつも気になっていることがあります
「かんじん」 
を弦斎は、肝心ではなく肝腎と書いています。
現在は、国語の規定で、肝心が正規で、肝腎は常用外になっているらしく、ほとんど全て肝心と表記されるようです。
これは間違いです。弦斎流が正しいのです。
「かんじんかなめ」といいますが、漢方の生理学でカナメとしている臓器は、
肝臓と腎臓であって心臓ではありません。の読み方も、シンであってジンと読む例はないはずです。
戦前の確かな文章は全て肝腎になっているはずです。
漢方医学から派生して一般に使われるようになった言葉なのですから正しい表記に直して下さいと国語審議会に申し入れしたいというのが漢方家としての気持ちです。

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2008年7月 3日 (木)

実は生卵は一年もつんですってよ、奥さん!!

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昨日紹介した、多田富雄先生の仰る事を補完・実証する例が今日のブログにありました。

福島香織さんの「北京趣聞博客(ペキンコネタブログ)たまには軽いエントリー①卵の話し」 http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/entry/629714/

■私「どうして、中国の卵って何ヶ月ももつんですか?日本の卵は賞味期限がせいぜい1カ月くらいでしょう?」
卵屋さん「卵、本当は半年くらい平気で持つんですよ。持たないのは日本の卵くらいです」
私「ええ??日本の卵は腐りやすい?」
卵屋さん「日本の卵は、洗浄してから市場に出すことが定められているんです。でも
中国や欧州は、鶏のおしりからでてきたそのままの卵を市場にだします。卵の表面は実は薄い膜でおおわれていて、洗浄しないと、その膜はついたまま。ですから中に空気も雑菌もはいりません。冷蔵庫にいれておくと、一年くらいはもつでしょう」

実は生卵は一年もつんですってよ、奥さん!!

■私「ではどうして、日本は卵を洗うんでしょう。洗わないほうが日持ちするのに」
卵屋さん「それは鶏のおしりから出てきたままだと、汚いから、雑菌だらけなんです。ですから
中国や欧州の生卵は表面はばっちいですよ。使うまえは30度くらいのお湯で洗ったほうがいいです。」
私「家の冷蔵庫に、去年2月から冷蔵庫に入れっぱなしの生卵があるんですけど、どうなっていると思います?」
卵屋さん「いや、雑菌が入っていなければ腐って真っ黒、ということにはならないと思いますよ」
私「じゃあ、こんど皆さんが家に遊びにきてくれたときに、わってみますね、楽しみ!」

kiyohikoの子供時代はどんなに古い玉子でも割ってみて黄身が崩れていなければ絶対大丈夫で平気で食べていました。賞味期限などありませんでしたし、自分で判断していました。最近も、といっても数年前ですが、期限切れから3ヶ月くらい経ったのを卵焼きにして食べたのを覚えていますが、旨かったですよ。

福島香織さんは産経新聞中国総局記者。レポートが素晴らしい。カテゴリー「食の安全学」に限らず素晴らしい。中国当局に睨まれて大丈夫かとシバシバ心配しますが。

mikoさんも、福島さんのこのエントリーを取り上げています。
http://miko.iza.ne.jp/blog/entry/630054/

mikoさん先生には「よくぞ書いてくれた」という記事をいつも紹介してもらって、目の鱗を落としてもらっています。私が青山繁晴さんの動画が見られるのはmikoさん先生のおかげです。

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2008年7月 2日 (水)

賞味期限に頼らぬ知恵

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免疫学者・多田富雄先生の「多田富雄の落葉隻語(読売夕刊・7月1日)」は値傾聴。

何日かしたら、ここに載ってくるのでしょうが、まだなので全文引用。

 この季節になると、食べ物の足が速い。お弁当なんかすぐ臭くなるからご用心。でも私はあまり気にしないで食べてしまう。おなかをこわすこともない。
 昨年は「消費期限」『賞味期限」の偽装事件が頻発した。和菓子、チョコレート、干し芋まで、次々に偽装が発覚した。偽りの情報でものを売ることは、詐欺行為だから無論いけない。そうはいっても、すぐに廃棄という措置も頂けない。
 食品の表示は「賞味期限」と「消費期限」がある。前者は黄色信号で公社は赤信号と思えばいい。賞味期限が過ぎた食物を、大量に廃棄している映像がテレビで流された。飢餓に苦しむ難民を見た後なので、「ちょっと待って」と声をかけたくなった。
 地球規模で食糧不足が叫ばれているのに、日本だけこんな無駄をしていいはずがない。大体、賞味期限とは単なる食べ時の目安ではないか。規制をかける必要があるだろうか。生産者の自主的表示でいいのではないか。
 腐ったものを食わされるのはまっぴらだが、あれは多少劣化しているだけだ。食中毒はボツリヌス菌やサルモネラ菌などで起こるが、賞味期限とは無関係で製造の過程で混入する。

 近頃、日本人には過剰な無菌志向がある。もともと私たちの周囲は黴菌だらけである。黴や細菌、総称して黴菌と人類は共存しながら進化してきた。
 昔、私の母など、残ったご飯の糸の引くのを平気で食べていた。確かに雑菌は増殖しているが、おなかをこわすことはなかった。家族には炊き立てのご飯を食べさせた。お客に料理を使い回した料亭とはまるで精神が違う。
 口から入る日常の雑菌に曝されて腸管の免疫が強化され、下痢を起こす黴菌に抵抗力を獲得する。アレルギー体質も少なくなる。
 子供がたまに発熱したり下痢したりするのは、黴菌との戦い方を習得しているからである。学習の場は主に腸管である。成長の時期にここで戦い方を学習しないと、雑菌に対する抵抗力が弱くなり、逆にアレルギーを起こしやすい体質になる。免疫学者の私が言うのだ。信じていい。
 かといって、私は腐ったものを食べろなどと乱暴なことを言っているのではない。過剰な無菌志向は、かえって抵抗力を損ない、アレルギー体質を招くといっているだけだ。
環境がきれいになった今の日本で、アレルギーは国民病となった。戦前の青洟(あおばな)を二本たらした子供にはアレルギーなどなかった。開発途上国の子供にもアレルギーは少ない。
 発酵食品など伝統的保存食では、菌たちがお互いにバランスを保って病原菌の増殖を抑えているのである。こうした古人の知恵に学ぶ事が必要である。
 本当に危険な「消費期限」を表示させて、後は消費者の選択に任せたらどうか。それが本当の「食育」である。消費者は表示に頼らず、自らのリスクで食物を選ぶ知恵を持つべきである。偽装に惑わされる事なく、資源を無駄にしないよう心がける。それより表示に頼って、食物の有り難さを忘れるほうが怖い。
 消費者には賞味期限を過ぎた食品の、安全な食べ方、保存法の指導が必要だ。生産者には、作り過ぎないように生産調整の指導をする。そうでないと、毎日何万トンもの食品が無駄になる。再生食品や飼料とする方法も開発しなければならない。日本の技術力が試されるところである。
 世界的な食糧危機が叫ばれている現在、食品がちょっと劣化したくらいで廃棄したら罰が当たる。75歳を過ぎたらもう期限切れ、廃棄しようという後期高齢者医療制度も同じである。それより目に余る劣化、腐敗が報じられている官僚を一掃したほうが安全だ。

本当に正論です。今は古人の知恵をないがしろにしすぎです。

多田先生のプロフィールは、ウキペディアで、そんなに詳しくはないが。

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2008年7月 1日 (火)

食育のルーツ・村井弦斎(1)

ふじみ野市 マサキ薬局の 漢方なブログです。健康情報を主体に書いて行きます。

食育という言葉の生みの親さぐりの2回目です。

食育のルーツは明治31年の石塚左玄と明治36年の村井弦斎の書籍にあるとされています。

今回は二人目の村井弦斎について調べます。

村井弦斎については、ウィキペディアにかなり詳しく出ています。先ずそちらをどうぞ。

村井弦斎(1864年~1927年)が書いた小説「食道楽」の第252章のタイトルがそのものズバリの「食育論」ですので、お読みください。この小説のヒロインはお登和、主人公が大原満で、お登和の兄中川と大原の友人小山が中心で展開する物語です。

第二百五十二 食育論

生活問題の人生に大切なるは今更の事にあらざれども世人はとかく迂闊に流れて人生の大本を忘るる事多し。小山も深く感動しけん。「お登和さん、私は学校にいた時分から他の人よりも余計に色々な智識を蓄える事が好きで、歴史上の智識でも文学上の智識でも科学上の智識でも頭へ詰め込む方でしたが今になってみるとまだまだ実用の智識は一向蓄えていない事を悟ります。これも一つは我が邦の教育法が間違っているから何事も実際には迂遠な人物ばかり出来るのですね。これからの子弟を教育するものはよほどその点に注意しなければなりません」 

お登和嬢 「さようでございますとも。私なんぞが女の癖に教育の事をかれこれ申しては生意気に亘りましょうが平生兄はこう申しております。今の世は頻りに体育論と智育論との争いがあるけれどもそれは程と加減によるので、知育と体育と徳育の三つは蛋白質と脂肪と澱粉のように程や加減を削って配合しなければならん。しかし先ず智育よりも体育よりも一番大切な食育の事を研究しないのは迂闊の至りだ。動物を飼ってみると何より先に食育の大切な事が解る。鶏を飼っても食物が悪ければ卵を沢山産まない。牛を飼っても食物が悪ければ牛乳の質が粗悪になる。馬を飼っても豚を飼っても食物の良否でその体質が変化する。人間もその通りで体格を善くしたければ筋骨を養うような食物を与えなければならず、脳髄を発達させたければ脳の栄養分となるべき食物を与えなければならん。体育の根源も食物にあるし、智育の根源も食物にある。してみると体育よりも智育よりも食育が大切ではないかとよくそう申します。ちっと風変りな議論かも知りませんが鶯を飼って好い声を出させようとすると大層食物を吟味して栄養の多い消化の速いような摺餌を与えます。人もその通りで善い智恵を出させようとするにはそれだけの食物を与えなければなりますまい。野菜を作っても肥やしが大切です。人も不衛生的な粗悪な食物ばかり食べていては身体も精神もともに発達しますまいから誰でもこれからは食育という事に注意しなければなりません。赤児を牛乳で育てる人は少し胃腸が悪くなると、オヤオヤこの子が下痢するよ、きっと牛乳屋で青草ばかり牛に食べさせるからだろう、牛乳屋に小言を言って遣ろうなんぞとその時分だけ食物の影響を知っていますが少し大きくなると大人同様の食物を与えて平気でいます。発達を過ぎた大人と発達盛りの小児とはよほど食物の配合を変えなければなりません。大人になっても毎日食物の影響を受けています。脳髄が発達して上等の人種になるほど食物の影響を鋭敏に受けます。ちょうど犬は腐った肉を食べても平気ですが人はそれを食べると胃腸を害するようなもので、高等の動物になるほど食物の影響に感じやすいのです。同じ人でも白痴と狂人は何を食べても滅多に中りません。それは神経を使わないから胃腸が無神経同様になって下等動物に近いのです。そう思うと何を食べても決して中らぬなんぞと自慢するのはあんまり自慢にもなりませんね」 と今の世にはいまだかかる自慢もありと見ゆ。

知育・徳育・体育の三育を基本としていたのが明治時代の教育だったのですが、弦斎はお登和の口を借りて、「食育」のほうがもっと大切だと主張しているわけです。

ここに一つの解説があります。http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20080219bk02.htm

つづく

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